インターネット上で資材・設備材の搬送を予約し、作業階まで自動搬送

インターネット対応の「web揚重管理システム」と「自動化搬送システム」で資材搬送のピーク時には能率を約1.5倍に、調整作業を1/3に省力化

プレスリリース

大林組は、各専門工事業者が揚重機の利用をインターネット上で予約すると効率的な搬送計画が自動的に作成される「web揚重管理システム」と、仕上げ用の資材(ボード、軽鉄等)や設備機器がストックヤードから作業階まで自動的に搬送される「自動化搬送システム」を開発、実用化しました。
効率的な搬送計画を立てることで揚重機の運用効率を向上し、搬送を自動化することで、ピーク時の揚重能力を従来の約1.5倍に向上し、揚重機の調整作業を1/3に省力化します。
建設省近畿地方建設局発注の大阪第5合同・法務総合庁舎(I工区)新築工事において適用しています。

建築工事では、使用する大量の資材と設備機器をいかに効率良く作業場所へ搬送するかが工程管理のうえで重要です。工事の規模が大きく、建物が高層化するにつれ、搬入される資材の種類や数量が増し、工事が仕上げの段階になると、使用する資材、設備機器の量がピークとなります。特に、仮設エレベータなどの揚重機は搬送上の隘路となり、その運用管理が工程に大きく影響します。
一般的に、揚重機の搬送計画は、各専門工事業者からFAXや電話などで希望日時を受付け、工程に合わせて調整されます。一方、専門工事業者から寄せられる揚重機の使用希望は、所要時間が実際の時間より長めに見積もられる傾向にあり、揚重機の空き時間や作業の待ち時間が発生し、効率的な運用とはなっていない場合があります。また、搬入トラックの到着時間のバラツキといった不確定な要因や、揚重機への積み込み作業が各専門工事業者ごとに行われているなど、より効率的な搬送作業計画の立案と搬送作業が求められていました。

今回、新しく開発、実用化した「web揚重管理システム」と「自動化搬送システム」は、揚重機の空き時間や待ち時間を減らし、計画的に効率良く建築資材や設備機器を搬送することができるシステムです。各専門工事業者が自社や作業所のパソコンからインターネット上で揚重機を予約すると、効率的な搬送計画が自動的に作成され、現場の立体ラックに搬入された建築資材や設備機器は作業階まで自動的に搬送されます。
効率的な搬送計画と搬送の自動化により、揚重作業のピーク時には、搬送時間が約20%短縮し、積載率と機械の稼働率が20%程度向上します。これらにより搬送ピーク時には、揚重能力が従来の約1.5倍に向上し、揚重機の調整作業は1/3省力化され、かつ搬送作業の安全性が向上します。また、専門工事業者にとっては、自社のパソコンやiモードから揚重機の申込みと搬送予定を確認することができるので、搬送調整作業の省力化となります。


無人フォークリフトからの資材を仮設エレベーターへ積み込む移載装置

「web揚重管理システム」と「自動化搬送システム」の特長は次のとおりです。

1.搬送作業時間の短縮と省力化が図れ、かつ安全性が向上
  立体ラックから作業階までの搬送作業が自動化されているので、搬送のピーク時には揚重能力が約1.5倍向上します。重量物の資材の積み込みと積み下ろしを機械で行うため、作業の安全性が向上します。

2.工程に合わせた最も効率的な搬送計画が可能
  「web揚重管理システム」により、その日の最も効率的な搬送計画を立てることができるので、揚重機の待ち時間や揚重機の空き時間を最小限にすることができます。また、調整作業も従来の1/3に省力化します。

3.ストックヤードの省スペース化と効率的な搬送を実現
  立体ラック棚は狭いスペースに設置可能なためストックヤードの省スペース化が図れます。また、一時ストックが可能なので、搬送予定に合わせた定量・定時の搬入が不要になり、事前に梱包材除去作業や混載作業が実現できます。揚重機の空き時間などにも立体ラック棚からのフレキシブルな搬送が可能となり効率的です。搬入トラックはラック棚への荷卸しが終了すれば解放されるので、効率的です。

4.専門工事業者にとっても省力化を実現
  「web揚重管理システム」はiモードにも対応しており、各専門工事業者の担当者は自社や作業所以外からも、揚重機の予約とその確認を行うことができるので省力化が図れます。また、揚重機調整管理者もプログラムによる自動調整機能により省力化が図れます。
今後、大林組では、自動化搬送システムを、専門工事業者の作業終了後の時間帯(夜間など)に利用することで、揚重労務や機材の費用の削減を図るなど、一層の作業効率の向上を目指します。

【工事概要】
工事名称 : 大阪第5合同・法務総合庁舎(I工区)新築工事
施工場所 : 大阪市福島区福島1-1
発注者 : 建設省近畿地方建設局
設計・監理: 建設省近畿地方建設局 営繕部、株式会社昭和設計
施工業者 : 大林・佐藤・安藤特定建設工事共同企業体
工期 : 平成10年3月17日~平成13年10月末予定
構造規模 : 地上24階、地下3階、塔屋2階
構造 : S造、一部SRC造
1. 専門工事業者が「web揚重管理システム」により、自社や作業所のパソコンや携帯電話から、資材の種類と数量、揚重機、搬送階、搬送回数を入力すると、データベース化された搬送の制約が参照され、予約の可否と可能なら推定所要時間が提示されます。
2. 専門工事業者が入力した揚重機予約情報は、揚重機調整管理者(工事事務所の社員)が webサーバーから1週間分のデータを取り込み、開発したプログラムで一定の手法に基づく自動調整により工程や作業効率に最も適した搬送予定を決定します。調整済みの搬送予定はwebサーバーへ返送され掲載されます。
3. 専門工事業者は、web上に掲載された搬送予定に基づいて、搬送日時までに資材、設備機器の搬入を立体ラック棚に完了します。また、無人フォークリフトの管理者は、web上に掲載された搬送予定を機械に入力します。
4. 立体ラック棚に搬入済の資材、設備機器は、無人フォークリフトにより、揚重機(仮設エレベーター)の前まで搬送されます。
5. 仮設エレベーターの前に仮置された資材、設備機器は、移載装置により自動的に仮設エレベーターに積まれ、所定の階に到着すると自動的に降ろされます。
6. 専門工事業者は作業階の仮設エレベーター前の適当な位置に置かれた資材、設備機器により作業を行います。

以上
 
■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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