現場におけるIT活用の最前線、情報化施工事例の紹介 「大阪ガス姫路製造所PC・LNGタンク建設工事」

プレスリリース

大林組と大阪ガス(株)(本社:大阪市中央区、社長:野村明雄)は、共同で世界最大の地上式LNGタンクである「大阪ガス姫路製造所PC・LNGタンク建設工事」において、最新の情報通信技術(IT)を用い、現場情報を統合的に管理して共有化・活用する情報化施工に取り組み、品質及び生産性の向上とコスト縮減に効果を上げています。

情報化施工は、施工に関わる、工程管理や品質、技術などの情報を、発注者や作業所、本社の専門知識を有する専門家などがいつでも引き出して利用することができるエクストラネットを構築し、迅速で正確な施工の対応を可能とするものです。施工の安全性や品質を向上させるだけでなく、顧客(発注者)の信頼度を高め、省力化、生産性向上、コスト縮減も図ることができます。

「大阪ガス発注の姫路製造所PC・LNGタンク建設工事」における情報化施工の取り組みの主なものを紹介します。

1.プロジェクト管理情報の共有化
ASPを利用して、設計図面や工事計画書、議事録、工事記録写真、遠隔操作によるライブカメラからの情報など、工事管理上必要な情報を、現場作業所の社員だけでなく、発注者、本社や技術研究所などの専門知識を有する専門家を初めとした工事関係者が、いつでもそれらの情報を引き出すことができるエクストラネットワークを構築しています。これらの情報は、外部の管理会社のサーバーに一元管理されているので、常に最新の情報として閲覧することができます。また、遠隔地にいる専門家が必要な情報を、ライブカメラなどを利用して必要な時にいつでも引き出すことができるので、リアルタイムに適切な処理が可能となります。結果として、安全性の向上、品質の向上、顧客の信頼度を高め、省力化も図れます。

2.遠隔モニタリング・技術支援システム
PC・LNGタンクの施工では、部材の断面寸法が厚いコンクリート、いわゆるマスコンを打設します。マスコンはセメントと水が化学反応する際に発生する水和熱による温度上昇を考慮して施工することが要求されます。高温で硬化したコンクリートは安定温度まで降下する時に収縮しようとしますが、既設のコンクリートに拘束されて引張力が生じることによるひび割れを防ぐため、設計段階からの解析、検討が重要で、打設時にはこれらの解析、検討結果と計測値を常に比較検討しながら制御管理が行われます。今回の施工では、温度計や応力計などの計測データを本社や技術研究所の専門家がリアルタイムで閲覧し、Webカメラによるライブ映像と合わせて、施工管理や品質管理上での技術指導・支援を遠隔地から行うことが可能となります。マスコンの温度ひび割れ制御管理だけでなく、将来行われるLNGタンクの水張試験時の沈下挙動計測に対する設計監理などにも有効なシステムです。

3.コンクリートの品質管理・保証システム
LNGタンクに用いる自己充填コンクリートの充填性能の指標となる流動性と材料分離抵抗性は、コンクリートの練混ぜ時に決まってしまいます。安定した品質の確保は、ミキサの練混ぜ終了時の負荷電流値、各材料の計量記録、骨材の表面水比率やその補正操作値、製造時間などをリアルタイムに監視することにより可能となります。コンクリートの品質管理・保証システムは、生コン製造プラントでこれらの必要な計測数値をインターネットを利用することにより打設現場や遠隔地の専門家や技術者が共有することができるシステムです。必要に応じて、必要な情報を常時閲覧できるので、安定した品質の管理と品質変動に対する迅速な対応も可能となります。結果として、相互監視による品質の向上を図ることができ、構造物の信頼性の向上を図れます。

大林組と大阪ガスは、今後も、ITを活用した情報化施工に積極的に取り組み、品質の向上と構造物への信頼性を向上し、さらなる生産性向上を目指します。

以上
 
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大林組 東京本社 広報室企画課
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