大林組は、山岳トンネルや地下発電所などの大規模地下空洞を建設する際に、掘削に伴い漸次変化する地山の変位状況を、CCDカメラとパソコンを用いて、非常に簡易にかつ高精度に計測するシステムを、早稲田大学理工学部応用物理学科 橋本周司教授の協力を得て、開発・実用化しました。大規模地下空間のみならず、橋梁や岩盤傾斜、ありとあらゆる構造物の形状、寸法、変位量を計測することができる画期的なシステムです。 大規模地下空洞の建設には、安全性と経済性を確保するために、常時、観察と計測が行われています。地山の状況は目視やデジタルカメラを用いた観察により行われますが、地山の挙動や地盤崩壊を防ぐ支保機能の把握については、各種の計測や解析手法を用いて行われています。中でも、内空変位と天端沈下は日常施工管理上極めて重要であり、切羽の進行に伴いその都度計測が必要です。従来、内空変位計測には、コンバージェンス測量(スチールテープ(巻尺)による測量)が用いられてきましたが、近年では手が届かない場所や危険な場所でも計測が可能な光波測距儀が用いられつつあります。しかし、これらの方法では、計測個所が多くなればなるほど倍数的に計測時間がかかり、煩雑な作業となります。 大林組は、CCDカメラとパソコンを用いて非常に簡易に、かつ高精度に地下空間や構造物の形状、寸法、変位量を、短時間に計測することができるシステムを開発・実用化しました。手の届かないような危険な個所でも安全に計測することが可能です。CCDカメラで撮影された画像は、そのままでは地山の変位を計測することができず、画像特有の歪曲(ねじれ)を修正する必要があります。今回の開発では、歪曲を修正する特別な関数と画像処理技術により、画像からの誤差を0.004%にとどめ、高精度の計測を可能としました。 また、計測地点を一度に撮影し計測できるので、計測点が多ければ多いほど作業効率が向上し、効果を発揮します。大規模地下空間のみならず、橋梁や岩盤斜面などの計測にも適用可能です。 トンネル内の空間変位測定の手順は以下のとおりです。 1 掘削直後の空洞壁面に計測の目印となる計測用ターゲットを設置します。 ターゲットの数に合わせてより局所的な変位量を計測することも可能です。 2 掘削に伴い、計測域全面をCCDカメラにより撮影します。 3 パソコンにより、画像の歪曲を補正し、計測基準点からの移動量を計算。 4 目的の形状、寸法、変位量を出力。 今回、開発したCCDカメラによる変位計測システムの特長は次の通りです。
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■この件に関するお問い合わせ先 大林組 東京本社 広報室企画課 東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟 お問い合わせフォーム プレスリリースに記載している情報は発表時のものです。 |
CCDカメラを用いた変位計測システムを開発・実用化
トンネルなどの地下空間の変位を非常に簡易に、かつ高精度、安全に計測します
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プレスリリース