高信頼性コンクリートの全自動製造システムのモデルプラントが技術研究所に完成

次世代コンクリート製造システム究極のワンマンプラント「コンクリート製造名人」

プレスリリース

大林組は、コンクリートの品質変動の主要因となっている砂の湿潤状態に全く影響されない計量方法を考案し、計画された配合どおりに安定した品質のコンクリートを製造することができる高信頼性コンクリート製造システム「コンクリート製造名人」の全自動製造モデルプラントを技術研究所(東京都清瀬市)に完成しました。全自動化により省力化と高耐久かつ経済的なコンクリートを誰でも簡単に製造でき、品質管理、検査の合理化も実現できます。

計画された配合どおりに安定した品質のコンクリートを製造するには、セメントや混和剤、砂利や砕石(粗骨材)、砂(細骨材)、水といった各材料を所定量だけ正確に計量することが極めて重要です。
しかし、セメントや混和剤などは単体で、高精度に計量することが容易であるのに対し、骨材の表面には、通常、水分が付着しているため、骨材及び水を計量する際には、この表面水の量を勘案する必要があります。特に砂は、砂利や砕石と比べ、表面に多量の水を含んだ状態で供給され、貯蔵されています。しかも、この砂の表面水は積み上げられた上下で異なるため同じ貯蔵施設内にあっても均一ではなく、また表面水の量は時間の経過に伴っても変化するため、砂の表面水の量を正確に把握することは非常に困難であり、熟練技術者の経験とノウハウでその全体量及び変動を見極めながら水分量を補正しているのが現状です。砂の表面水を測定するための各種センサも実用化されていますが、骨材の貯蔵状態や天候の変化などの影響には対応しきれていないのが実状です。従来、これらの方法では、表面水率を高精度かつリアルタイムに補正することは難しいため、実用上は予め変動する範囲を想定し、目標とする強度などの性能を得られるように配慮しています。

大林組が開発した高信頼性コンクリート製造システム「コンクリート製造名人」は、従来の細骨材の表面水率測定を不要とした全く新しい発想の水浸方式による細骨材計量システムで、常に正確な水量と細骨材量を同時に計量算出することができます。
大林組は、この方法により実現可能となったコンクリート製造の全自動製造モデルプラントを技術研究所内に完成しました。材料を入れたコンテナを地上でセットするだけで、コンピュータに制御された全自動システムがそれぞれの材料を正確に計測し、練混ぜてコンクリートを製造します。

全自動製造モデルプラントの製造工程は次のとおりです。
  1. 材料を入れたコンテナを地上部で所定の位置にセットします。
     
  2. コンテナはそれぞれの材料別貯蔵ビンまで自動搬送され、回転して貯蔵ビンに材料を投入します。
     
  3. 全材料の投入後、それぞれの材料が自動的に高精度に計量されます。
     
  4. 設定により自動的に練混ぜが行われます。材料投入順序を問わず多様な練混ぜの選択が可能で、ミキサの取り替えも可能です。
     

全自動製造プラントの特長は次のとおりです。
  1. 大幅な省力化が可能です
    全自動で所定のコンクリートを製造できるので大幅な省力化が可能です。また、細骨材の表面水率の測定が不要な水浸方式なので、サンプリングして細骨材の表面水を計測する必要がなく、細骨材の管理や補正も不要なので、さらに省力化が可能です。ワンマンプラントを実現することもできます。

  2. 高信頼性コンクリートを製造できます
    細骨材の表面水率に左右されずに高精度に材料を計測することができるので、コンクリートの品質変動がなく、計画どおりにコンクリートを製造することができます。

  3. 熟練技術者の経験やノウハウは不要です
    細骨材の表面水を勘案しながら水の量を微調整するという熟練技術者の経験やノウハウに頼らず、配合どおりのコンクリートを製造できます。

  4. 既存の製造プラントへ容易に適用できます
    全自動製造システムの導入には大林組が技術支援を行います。また、既存のプラントには、全自動製造システムでなくても、計量装置の設置だけで高信頼性コンクリートプラントが実現できます。プラントの大幅な改造は不要で、水と細骨材の計量装置を改造し設置するだけです。

大林組は、今後、合理的な計量と安定した品質確保を提供するため、積極的に「コンクリート製造名人」を提案していきます。また、全自動製造システムについてもシステム導入支援を行っていきます。

以上


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大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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