屋上の防災用水槽を制振装置に!流体式制振装置「MOVICS」の新タイプを開発

プレスリリース

大林組と三菱重工業(株)(本社:東京都千代田区、社長:西岡喬)は、強風や地震に対して長周期に揺れる超高層建物向けに、水を利用した新たな流体式制振装置を開発、実用化しました。既に、実用化している流体式制振装置「MOVICS(Mitsubishi Obayashi VIbration Control System)」の新タイプとして、住友不動産(株)、日新設計(株)、(株)日新ナビゲート、宗教法人 日新窟 発注の「住友不動産 芝公園タワー ラ・トゥール芝公園U」に適用し、制振効果の測定確認を行ったところ良好な結果を確認しました。

流体式制振装置「MOVICS」は、通常ビルに大量にある水を利用する制振装置です。防災用水等の使用目的で建物に設けられる水槽に制振機能を付加した水槽(流体式制振装置)を設置し、建物のX・Y2方向の揺れや振動を抑制します。水槽内の水の流れを建物の揺れや振動に同調させることで、大きな揺れから小さな揺れまで、速やかに減衰することができます。
超高層建物が強風時や地震時に長周期で揺れるために発生する「船酔い現象」を解消し、建物の居住性を向上させ、かつ、防災用水槽と兼用できるため、建設費の増加を抑え、また、維持管理も不要といったメリットもあります。

近年の超高層建物では、ブレースダンパーなど非常に性能の高い耐震装置等を採用することにより、耐震性能を確保しつつさらに高層化することが可能になってきており、建物の固有周期が長周期化する傾向にあります。建物の超高層化と大規模化が進む中、建物は高い耐震性能と居住性が求められています。
また、阪神淡路災害後、建物は大地震などの災害時に電気と水の供給が非常に重要であるとの教訓から、近年の建物は、IT設備や空調設備などの緊急時の非常用電源や空調機の冷却補給水、防災用水の確保など、地下や屋上に、緊急時だけに必要とされるバックアップ水を確保するケースが増えています。

今回、新たに開発した新タイプの「MOVICS」は、長周期化する建物向けの流体式制振装置です。二方向にU字型断面をもつ水槽の立ち上がり部の開口面積を変えることで、建物毎に異なる水平二方向の固有周期に同調させます。従来の「MOVICS」は、比較的周期の短い建物制振にも対応できるように設計されていましたが、周期調整機構を簡略化したことにより、価格を最大で従来の半分程度に抑えることが可能となりました。
また、今回適用した、「住友不動産 芝公園タワー ラ・トゥール芝公園U」では、良好な制振性能だけではなく、低層系(16階以下)のスプリンクラー用水源の利用と断水時、IT関連テナントの空調系補給水としても利用が図られています。
現在、施工中の「(仮称)キヤノン販売品川本社ビル」にも適用予定で、制振機能を持つ非常用水槽として利用拡大を期待しています。

今回、開発した「MOVICS」の特長は次のとおりです。
  1. 制振装置機能
    水の自然の流れを利用した制振装置なので、応答性が良く、微小振動から強風・地震による揺れに対し、大きい揺れから小さい揺れまで約1/3に低減できます。

  2. スプリンクラー用水源機能
    スプリンクラー用の配管と接続するだけで、火災発生時のスプリンクラー用水源として利用できます。消防法にも適合します。

  3. 設備機器の冷却用補給水源機能
    水冷の空調機械や自家発電機において、冷却時に失われる水を補給する必要があります。断水時や停電時には、「MOVICS」から水を補給し、設備機能の停止を防ぎます。

  4. 緊急用水・中水供給機能
    中水管に接続すれば、飲用以外のトイレ用水などの中水として利用することが可能です。浄水することにより飲用も可能です。

  5. 建設費を抑え、メンテナンスの負担が軽い
    防災用水槽と制振装置を兼用しているので建設費を抑制することが期待できます。また、メンテナンスも通常の屋上水槽の維持管理程度なので、メンテナンスの負担が軽いシステムです。

今後、大林組では、ビルの付加価値を高める制振装置として、積極的に「MOVICS」を提案していきます。

以上