建設費と維持管理費を抑えた効率的な最終処分場を実現します

多機能円筒型の屋根付き処分場

プレスリリース

大林組は、産業廃棄物も受け入れるような大規模処分場向けに山間部などの安定した地盤を利用した複数の円筒形埋立槽(直径70~100m、深さ20~60m)からなる多機能の円筒型廃棄物処分場を開発しました。建設費と維持管理費をトータルで抑えた効率的なクローズドシステム処分場で、浸出水を最小限に抑えることで処理水の河川への放流を無くし、真空吸引により廃棄物の早期安定と減容化を図るとともに、有害ガスなどから作業員を守ります。

近年、ダイオキシン等の有害物質を含む浸出水の漏洩による地下水や表流水による汚染問題など、最終処分場に対する地域住民の不安感から新規の処分場の確保が難しくなっています。加えて、処分場の安定化には長期間を要するため、建設費だけでなく、維持管理費を抑えた最終処分場が求められています。
大林組は、地域に安全で信頼性が高く、建設費と維持管理費をトータルで抑えたクローズドシステムを提案しています。

大林組が開発した円筒型クローズドシステム処分場は、処分場内に3~5年程度で埋立て完了する容量の円筒形の埋立槽(直径70~100m、深さ20~60m)を複数構築します。一つの埋立槽の埋立て期間中は、移動可能な屋根で覆うことで雨水の侵入を防ぎ、浸出水の発生を最少にします。埋立て完了後は、雨水浸透を調整できる覆土などのキャッピング処理を行い、次の埋立槽へ屋根を移動し埋立てを行います。
円筒型構造物であるLNGタンクを多数施工した実績と力学的に安定している円筒形、さらに地盤の安定している山間部を選択することで、建設費をかなり抑えることができます。
遮水には、大林組が開発した遮水工法(AML工法(※1))を用いることで、浸出水による地下水汚染防止や重機の稼動による遮水シートの破損を防止します。また、屋根で覆うことにより最小限になる浸出水処理水は、風、水温、気温を管理することで、蒸発させることができます。浸出水処理水の河川への放流はなく、浸出水処理などの維持管理費を低減することができます。また、一定間隔で、覆土に真空吸引管を設置し真空ポンプにより埋立廃棄物の下方から吸引することで、有害ガスを排出し、埋立作業環境を改善します。また、吸引孔に対応して設置した通気孔より新鮮な空気と共に適度な水分が廃棄物層に供給されることにより、好気性微生物の活性化も促進されるので、早期安定化と減容化による埋立量の増加が期待できます。周囲の景観になじみやすいドーム型の屋根により、豪雨などの天災に対しても信頼性が高く、管理が容易なので、自治体の維持、管理負担も軽減します。

※1 AML工法:遮水シートをアスファルトやコンクリートではさむことで、シートを保護し、遮水性能も向上します。長期間にわたり安定して遮水性能を発揮する遮水工法


円筒型クローズドシステム処分場の特長は次の通りです。
  1. 浸出水による汚染がなく、河川への放流もありません
    底面や側面には、AML工法を用いて遮水を行うため浸出水の漏洩を防ぎます。また、埋立中は屋根で覆うことで雨水の侵入を防ぎます。埋立て完了後は覆土により雨水流入量を調整し、安定化に必要な分だけの水を管理供給するシステムで、浸出水を最少にします。浸出水の発生量が減ることで、河川への放流はなくなります。

  2. 建設費を抑えることができます
    方形の埋立槽を構築する場合と比較して、円筒形は力学的に非常に安定しているので、切梁やアンカー等が不要で、壁厚も薄くすることができます。また、一般的に山間部は地盤が安定していることから、山間部に円筒形の大容量埋立槽を設けることで建設費をかなり抑えることができます。槽を深くすれば、敷地面積を抑えたまま埋立容量を確保することが可能で、屋根の大きさも小さくなるので、より建設費を抑えることができます。

  3. 維持管理費用を抑えることでトータルコストを安くできます
    埋立中は屋根で覆われ、埋立て完了後は覆土により雨水の浸透を防止するので浸出水を最少にします。浸出水処理水は、風、水温、気温を管理することで蒸発させますので、処理費用を抑えることができ、トータルコストを安くすることができます。

  4. 自治体の管理が容易になります
    豪雨などの降雨変動に影響されにくいので安定した浸出水処理を行うことができます。また、人工降雨による最適な量の水分供給と下方からの真空吸引による新鮮な空気の供給により廃棄物安定化促進が図れ、管理期間が短縮されます。真空吸引ポンプ等に必要な電源は屋根に取り付けられた太陽電池や風力発電などから電気を供給します。粉塵や臭気対策などの管理も容易です。

  5. 廃棄物埋立て量を増やすことができます
    埋立て原位置を屋根で覆うことで覆土全体を、従来の1/3程度に縮減できるので、その分の埋立て量を増やすことができます。また、真空吸引方式による新鮮な空気の供給が、廃棄物の減容化を促し、埋立量の増加を期待することができます。

大林組は、既に開発した屋根移動式クローズドシステム処分場に加え、平地における大規模屋根移動式クローズドシステム処分場や今回開発の円筒型クローズドシステム処分場など、山間部や斜面、平地といった地形の違いや規模に応じた低コスト処分場を提案するだけでなく、適地選定から埋立て後の跡地利用まで、総合的な提案を行う体制を整えています。

大林組が提案する総合的クローズドシステム処分場の特長は次の通りです。
  1. 適地選定を行います
    廃棄物処分場の適地選定においては、10数種類の用途地域別の地図をパソコン上で重ねあわせ、適地を公平に選定する自社開発の「適地選定システム」を利用して選定します。

  2. どんな場所でも安全で、信頼性の高い低コストな処分場を提案します
    山間部や斜面、平地といった地形の違いや規模に応じて、安全で、信頼性の高い、低コスト処分場を提案します。クローズドシステムが浸出水や粉塵、臭気を防止し、維持管理費を低減します。

  3. 跡地利用や準備地の先行利用など地域への貢献を提案します
    埋立て後の跡地利用や準備地の先行利用について、地形や周囲の状況に合わせた最適な利用方法を提案します。処分場の建設費や維持管理費用だけでなく、跡地の利用まで含めた総合的な提案を行います。

今後、大林組は、建設費の低減や維持管理費の抑制、効率的な維持管理による管理期間の短縮、埋立て後の跡地利用、準備地の先行利用など、廃棄物処分場の建設だけでなく、関連するさまざまな角度からコスト、効率性、安全性、信頼性、地域への貢献などについて自治体等に積極的に提案し、廃棄物処分場に悩む地域住民の不安を払拭し、自治体の住民に対する同意取得が得やすく、かつ管理が容易となるクリーンで安全な地域融和型の処分場を建設していきます。
大林組は、以下の展示会にクローズドシステム処分場を出展します。

建設技術フェア2001 in 中部  11/15、16日 ポートメッセ名古屋
エコビジネス展  11/16、17日 新潟市産業振興センター
建設技術展2001近畿 11/27、28日 大阪南港コスモスクエア ATCホール
くらしと技術の土木展 12/7、8日 アスティとくしま

以上


■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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プレスリリースに記載している情報は発表時のものです。