仮設の立体自動倉庫で仕上・設備材の搬送作業の高効率化を実現

資材搬送効率が約1.5倍に、揚重作業や調整作業の大幅な省力化を実現

プレスリリース

大林組は、国土交通省近畿地方建設局発注の大阪第5合同・法務総合庁舎(I工区)新築工事で、建築仕上・設備資材の自動化搬送システムを昨年8月から今年の3月までの約8ヶ月間にわたって適用した結果、揚重効率が従来の約1.5倍に向上し、揚重作業が45%、調整作業は80%省力化したことを確認しました。

建築工事では、使用する大量の資材と設備機器をいかに効率良く作業場所へ搬送するかが工程管理のうえで重要です。工事の規模が大きく、建物が高層化するにつれ、搬入される資材の種類や数量が増し、工事が仕上げの段階になると、使用する資材、設備機器の量がピークとなります。特に、仮設エレベータなどの揚重機は搬送上の隘路となり、その運用管理が工程に大きく影響します。特に、超高層建物の施工においては、工程への影響が大きく、効率化が求められていました。

今回導入した建築仕上・設備資材の自動化搬送システムは、まず、揚重機の利用を「web揚重管理システム」を用いてインターネット上で予約し、管理者が自動調整機能を使うなどして搬送計画を作成します。計画に基づき、仕上げ用の資材(ボード、軽鉄等)や設備機器をストックヤードとなる立体ラック棚から自動フォークリフトが揚重機(仮設エレベータ)前まで搬送します。次いで、自動移載装置が揚重機に資材を載せ、揚重機に自動的に乗り込みます。揚重機が作業階まで搬送した後、自動移載装置が資材を降ろします。あたかも仮設の立体自動倉庫を工事現場の敷地内に設けたように、効率的な搬送計画と効率的な仕上・設備材の物流を実現しました。

導入の効果を測定し確認したところ、自動化搬送システムの利用により、揚重機の空き時間や待ち時間が減り、計画的に効率良く建築資材や設備機器を搬送することができました。自動化設備によって内装資材の約80%を搬送した結果、資材の搬送効率は、通常の約1.5倍に向上し、揚重にかかる作業は、約45%省力化できました。また、web揚重管理システムに関して、最大で1日あたり約50件のアクセスがあり、全アクセス数の93%が協力業者の会社など現場外からのもので、約40%が休日や深夜・早朝などの時間外のものとなりました。また、web揚重管理システム利用者の半数がパソコンやインターネット利用の初心者でしたが、約1~2分程度の操作で揚重機の予約ができ、他社の予約状況を容易に確認できるなどアンケート調査からも良い評価を得ました。協力業者の会社から揚重機の予約が出来たことで予約データの入力作業などが軽減でき、揚重管理者の業務の80%を省力化しました。web揚重管理システムについては、躯体工事の鉄骨や型枠・鉄筋といった資材を扱うクレーン等の揚重機の予約や、資材を現場に運び込むトラックなどの搬出入管理にも利用できるように改造を加え、現在、施工中の和泉市総合センターほか3つの工事現場に適用中です。

建築仕上・設備資材の自動化搬送システムの特長は次のとおりです。
  1. 搬送作業時間の短縮と省力化が図れ、かつ安全性が向上
    立体ラックから作業階までの搬送作業が自動化されているので、搬送効率が約1.5倍向上し、揚重作業が約45%省力化できました。今回は、仮設エレベータを計画時から、一基削減することができました。重量物の資材の積み込みと積み下ろしを機械で行うため、作業の安全性も向上しました。

  2. 工程に合わせた最も効率的な搬送計画が可能
    「web揚重管理システム」により、その日の最も効率的な搬送計画を立てることができるので、揚重機の待ち時間や揚重機の空き時間を最小限にすることができます。また、調整作業も従来の約80%を省力化しました。

  3. ストックヤードの省スペース化と効率的な搬送を実現
    立体ラック棚は狭いスペースに設置可能なためストックヤードの省スペース化が図れます。また、一時ストックが可能なので、搬送予定に合わせた定量・定時の搬入が不要になり、事前に梱包材除去作業や混載作業が実現できます。揚重機の空き時間などにも立体ラック棚からのフレキシブルな搬送が可能となり効率的です。搬入トラックはラック棚への荷卸しが終了すれば解放されるので、効率的です。

  4. 専門工事業者にとっても省力化を実現
    「web揚重管理システム」はiモードにも対応しており、各専門工事業者の担当者は自社や作業所以外からも、揚重機の予約とその確認を行うことができるので省力化が図れました。また、揚重機調整管理者もプログラムによる自動調整機能により省力化が図れました。

今後、大林組では、「web揚重管理システム」を、大林組が開発しし社内と協力会社で利用しているASPサービス「OC-COMET(※1)」の1メニューとして加え、工事事務所や協力会社から随時利用可能な環境を構築する予定です。また、ABCSやBIG CANOPYといった自動化建設工法と共に、仕上げ・設備工事に適用できる自動化搬送システムを、積極的に採用し、揚重作業や機材の費用の削減を図るなど、一層の作業効率の向上を目指します。

※1 OC-COMET:大林組が開発したグループウェア「OJE(オープン・ジョブ・エンバイロメント」をインターネット上で提供し、業務情報の共有化と円滑なコミュニケーションを支援するASPサービス。2001年9月からサービス開始


以上


■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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