ファシリティマネジメント支援サービスを積極的に展開します

メンテナンス費用の低減と効率的な運用を実現する建物LCM支援システムを構築

プレスリリース

大林組は、建物資産の最適な活用と、効率的な維持管理を、運営コストの低減を図りながら、生涯にわたって実践していくための独自の建物のライフサイクルマネジメント(LCM)手法を構築し、システム開発を進めてきました。実用化されたシステムの一部は、既に複数の顧客で利用されており、今後も、顧客に対し、ファシリティマネジメント支援サービスを積極的に提案していきます。

建物の維持・補修の市場規模は、2000年度の21.1兆円から、2010年度には24.7兆円と約17%の増加が見込まれており、その後も増加するものと予測されています。中でも、国内の延べ床面積の約1/2は、70年代から80年代に建てられた建物で占めているといわれており、近い将来、一時期に膨大な数の建物がその改修時期を迎えることが予想されます。既存ビルは、維持・補修(メンテナンス)費用の低減と建物の長寿命化の両立が、ますます重要な課題となっています。

大林組は、顧客の建物資産価値を維持、向上させ、かつライフサイクルにわたって、維持・補修費用を低減するために、建物のLCM支援サービスを提供しています。この度、これまで開発を進めてきた支援システムに加え、個々の修繕工事などのプロジェクトを顧客自らが予実算管理することができる支援サブシステムを開発しました。この開発が完了したことにより、顧客は建物資産の有効活用と効率的な一連の維持管理を、建物のライフサイクルに照らして検討することが可能となりました。
大林組が開発した建物のLCM支援システムは、大林組が建物生涯に渡って監視すべき重要な部分を特定したうえで、システム内に監視モデルを構築し、それを建物オーナー(顧客)と大林組が協調して監視する事で、適切な維持保全を効率的に行うことができます。システムは、大林組が支援するLCMサービス支援ツール群と顧客自身が実践するLCMを支援するサブシステム群とから構成されています。なお、同システムは、数件の特許を既に出願しています。

顧客は、その監視モデルを参照しながら、修繕時期を簡易予測する機能を用いて修繕時期が近づいている部分を重点的に監視したり、計画のシミュレーション機能を用いて修繕の予算配分やさまざまなライフサイクルコスト低減策を検討することが可能となります。大林組では専門家が劣化の進行度合いを目視や機器調査により随時確認し、その結果を監視モデルに反映(更新)させていくので、常に最適なLCMを効率的に行うことができます。修繕の状況や結果などの履歴情報は、データベース化され蓄積されていきますので、建物特有の条件などについても確実に将来のLCM計画に反映させることが可能です。

支援システムの主なものは、次のとおりです。
  1. 修繕・改修時期の簡易予測
    システム内に構築された監視モデルを用いて、建物や設備機器の修繕、更新周期をグラフにより確認し、修繕、更新時期が近い項目について重点的に監視を行うことができます。また、調査診断結果データを用いて監視モデルの補正を行うことでより精度の高い予測が可能となります。

  2. 施設の現状把握、調査・診断
    共通の基準により作成された複数の建物の調査、診断結果を基に、短期間で施設の現状を把握することができます。調査結果は様々な視点から分析が可能で、修繕計画や予算計画などの維持保全計画の検討に役立ちます。

  3. 修繕・改修の予算配分計画
    任意に予算配分パターンを設定し、投資配分シミュレーションを行うことができるので、合理的で効率的な修繕、改修予算の配分計画が可能です。予算配分の優先付けには、建物オーナーの考え方を反映することができます。

  4. 修繕投資シミュレーション
    過去の修繕履歴を将来の修繕・更新計画に反映させることで、より精度の高い修繕、更新計画シミュレーションを実現します。長期の資金計画やライフサイクルコスト低減策の検討に効果を発揮します。

  5. プロジェクト予実算管理
    発注した修繕、改修工事の進捗状況やコスト管理を分析グラフによって視覚的に把握することができます。同時進行する複数の修繕工事の統合管理が容易となります。

  6. 工事図面等履歴管理(開発中)
    図面や機器台帳、工事履歴など、様々な施設情報を一元管理することで、常に、最新の情報を把握したり、過去の修繕工事記録情報等を容易に参照することが可能となります。

大林組の提案するLCM支援システムの特長は次のとおりです。
  1. メンテナンスコストを低減しつつ、効率的かつ効果的な建物の維持保全管理を建物の生涯に渡って支援します。

  2. LCMに関連する情報と業務を一つのシステムで統合管理することができます。

  3. システムは、施設に関する財務的な立場からの意志決定を支援するなど、顧客のファシリティマネージャーの視点をベースに設計されていますが、建物の維持管理業務担当者を支援する機能も多く取り入れられているので、多角的な判断が可能です。

  4. システムを構成する各サブシステムは単独でも、顧客のニーズに応じたサブシステムの組合わせでも利用が可能です。

大林組は、今後、メンテナンス費用が重要課題となる建物を保有するビルオーナーやビル管理、プロパティマネジメント、PFI事業等、修繕・更新の適切なマネジメントやコントロールが求められる分野へ、開発したシステムを利用したLCM支援サービスを積極的に提案していきます。
また、将来は、少数建物を対象とした簡易なLCM支援システムの開発も計画しています。
なお、大林組が提供する建物LCM支援サービスは、「大林組ビルケアフォーラム」(開催期間:7/11、12 於:大林組東京本社3階講堂)に展示いたします。

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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