切羽での粉じん量を大幅に低減し、坑内の作業環境を改善します

圧縮空気を用いない大容量低粉じん吹付け工法「ベルトショット」を開発、実用化

プレスリリース

大林組は、(株)三井三池製作所(本社:東京都中央区、社長:酒向徳明)と共同で、切羽での粉じん量を従来の1/5程度に抑えることで坑内の作業環境を大幅に改善した、大容量低粉じん吹付け工法「ベルトショット」を開発、実用化しました。「ベルトショット」は、既に特許を出願(出願日:1991年11月6日)しています。

山岳トンネルでは、一般的に、掘削後にコンクリートを地山に吹付けて1次覆工を行います。従来の吹付け作業では、コンクリートポンプにより圧送されたコンクリートに圧縮空気を加え、さらに先端ノズル手前で急結剤を吹き込み、先端ノズルから地山に吹付けて施工を行っていました。しかし、この方法では、コンクリートと粉体の急結剤が完全に混合せず、吹付けを行った際に材料の飛散や粉じんを発生させていました。そのため、集塵機や防塵マスクの着用により、劣悪な作業環境に対応していました。また、圧縮空気を利用した吹付け方法では、吹付けられたコンクリートが壁面に衝突した際に飛び散るリバウンド率が大きく、その分余分な量の材料を必要としていました。
最近では、液体の急結剤や、粉じん低減剤などが開発され利用される場合もありますが、吹付けコンクリートの初期の強度を発現することが難しく、コストアップの要因となるなどの課題があります。

大林組は、三井三池製作所と共同で、圧縮空気を用いずに、遠心力を利用してコンクリートを吹付ける、低粉じん型の大容量吹付け工法「ベルトショット」を開発、実用化しました。トンネル坑内の作業環境の悪化要因となる粉じんの発生を、従来の1/5程度に抑え、かつ吹付け時のリバウンド率を従来の1/2程度に低減しました。この工法を利用することで、集じん機を設置したと同程度に視界が確保できるほど粉じんの発生量を抑制することができます。
今回開発した「ベルトショット」を用いて、掘削断面積約180m²の高速道路トンネルを施工(坑口から約60m付近の上半断面)した結果、大断面トンネルで要求される吹付けコンクリートの初期の高強度基準をクリアし、かつ粉じん量は切羽付近で1m³あたり1~2mgで、従来の圧縮空気を用いた工法と比較して、1/5以下に低減したことを確認しました。また、リバウンド率も従来の半分程度に低減し、効率的、かつ経済的に切羽付近における作業環境を大幅に改善することができることを確認しました。

開発した「ベルトショット」による吹付け工程は、次のとおりです。

1 コンクリートは、圧縮空気を用いず圧送ポンプで配管内を圧送されます。
2 吹付機ヘッド部の直前で、急結剤が供給されます。
3 ヘッド部に供給された吹付け材料は、ヘッド内で高速走行するベルトに載り、その慣性力で壁面に投射圧着されます。

今回開発した「ベルトショット」の特長は、次のとおりです。
  1. 粉じん量を1/5程度に低減
    トンネル坑内の作業環境として特に問題となる切羽付近の粉じん発生量を1m³あたり、1~2mgに低減し、従来の工法と比較して、1/5程度に低減することができます。

  2. リバウンド率を半分程度に低減
    圧縮空気を使用してコンクリートを吹付ける構造ではないため、材料の飛散が少なく、また壁面に付着したコンクリートもエアによって弾き飛ばされにくいため、壁面に付着しやく、従来の吹付け工法と比較して、リバウンド率を半分程度に低減しました。

  3. コストダウンが期待できます
    粉じんの発生量を大幅に低減することで、換気設備の軽減など粉じん対策費用の低減や、リバウンド率の低減による材料費の軽減などによるコストダウンが期待できます。

大林組は、今後、坑内作業環境を改善する工法として、トンネル工事に積極的に提案していきます。

ベルトショット

施工風景

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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