建物全体を迅速かつ定量的に診断する「たてもの診たろう」の用途が拡大しました

オフィスビル・商業施設版に加え、病院、ホテル、学校、電算センター版を開発

プレスリリース

大林組は、既存建物の性能を短時間で総合的かつ定量的に把握することができる「建物健康診断システム“たてもの診たろう”」の用途を拡大しました。すでに開発し、多くの建物に適用してきたオフィス版と商業施設版に、この度開発した病院、ホテル、学校、電算センター版を加えることで、主要な建物用途のほとんどに適用が可能となりました。

「たてもの診たろう」は、これまでの建物診断が老朽度評価を中心としており、施設を運営する上で非常に重要な要素である使いやすさ、陳腐化、安全性、収益性、環境保全などの建物性能に対する定量的な評価がはほとんど行われていないことから開発された、建物性能評価システムです。従来、建物の性能評価は、評価する人の経験によって判断される部分が多く、評価結果にバラツキが生じることがあり、また、定量的な評価をする場合には、検査機器による測定やシミュレーションが必要で、非常にコストと時間がかかる作業となっていました。リニューアル計画も、建物本来の性能の総合的評価より、建物の老朽度調査で得られた情報を中心に立案される傾向があったため、大林組では、2002年1月に、オフィスビルと商業施設に対応可能な「たてもの診たろう」を開発し、既に多数の建物に適用しています。診断を行った建物の所有者からは、漠然としていた建物の状況が具体的かつ定量的に把握できリニューアル計画の立案や、計画に関する社内の合意形成に役立つなどの評価をいただいています。

しかし、従来の「たてもの診たろう」は、オフィスビルと商業施設に限定したもので、リニューアル需要が増加すると見込まれる病院、ホテル、学校、電算センターなどには対応していませんでした。

「たてもの診たろう」は、機能性、老朽度、安全性、環境保全性、意匠・アメニティ、経済性の6の側面から建物性能を評価しますが、今回新たに開発した4のバージョンは、特に機能性や安全性、経済性において用途ごとの特徴が異なるため、評価項目や評価基準を見直し、それぞれの特徴に合わせた診断項目を設定しています。

用途ごとの適用範囲と特徴は次のとおりです。

病院:
概ね100の病院を対象に、オーダリングシステム・電子カルテなどの情報通信設備、院内感染対策、安らぎへの空間的配慮などを評価項目に加え、さらに、昨年の医療法改正により変更になった必要病室面積、廊下幅なども評価に取り込んでいます。
ホテル:
ビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルを対象に、客室評価や客室稼働率、立地条件、集客対策などを評価項目に加えています。
学校:
小、中、高等学校、大学を対象に、従来の耐震性、アスベストやPCBなどの環境対策などの評価に、外部からの侵入防止対策などの評価項目を加えています。
電算センター:
中規模から大規模の電算センターやデータセンターを対象に、建築・設備条件や将来の拡張性、機密保持対策、設備バックアップ機能などを評価対象に加えています。

「たてもの診たろう」は、建物全般にわたる性能を定量的に短時間で評価することができます。建物の性能を、機能性、老朽度、安全性、環境保全性、意匠・アメニティ、経済性の6つの側面から定量的かつ詳細に評価することで、既存建物の問題点や優れた点を容易に把握することができます。調査・診断はわずか1日程度で済むので、リニューアル方針の立案など、建物に関するマネジメントを効果的かつ機動的に推進することが可能となります。本システムは大林組が提供する劣化詳細診断、省エネ診断、耐震診断、IT診断などの各種詳細診断と連携しており、本システムで明らかになった建物の問題点は、必要に応じて個別の詳細診断により更に検討することが可能です。

建物健康診断システム「たてもの診たろう」の特長は次のとおりです。
  1. 建物の性能を定量的かつ総合的に評価します
    建物性能の評価項目は、機能性、老朽度、安全性、環境保全性、意匠・アメニティ、経済性の6つの分野に分類され、さらに中項目、小項目と階層的に細分化されています。約120項目に及ぶ診断結果をパソコンに入力すると、各項目の定量的な評価がレーダーチャート形式で表示されるので、建物の性能を総合的に把握することができます。

  2. 調査、診断はわずか1日程度で完了します
    目視とヒアリングを中心とした簡易な調査なので、建物性能全般の調査、診断は1日程度で完了します。

  3. リニューアル後の建物性能も合わせて評価することができます
    評価の低い性能項目について、想定されるリニューアル項目を選択すると、リニューアル後に予測される建物性能も表示されるので、リニューアル方針の決定支援に使用することができます。

  4. 建物所有者の考え方を評価に反映させます
    建物所有者によって重要視する性能項目が異なります。本システムでは、各性能項目の重要度に対する所有者の考え方をAHP手法(階層分析法)を用いて分析し、評価に反映させます。

  5. 複数建物間の比較検討が行いやすくなります
    複数の建物所有者にとっては、建物間の性能を定量的に比較できるので、改修順位の決定が行いやすくなります。

今後、大林組は、今回開発した4つのバージョンを含めた「たてもの診たろう」を活用して、建物の総合的な診断と最適なリニューアル提案を行っていきます。
今回開発した4つの新バージョンを含めた「たてもの診たろう」は、11月26、27日に東京流通センターで開催予定の「ビル経営フェア」と、11月28、29日に大林組本店(大阪)で開催予定の「ビルケアフォーラム in 大阪」に出展します。

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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