美観に配慮した耐震補強を、簡易、短工期、居ながらにして実現します

ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)ブロックを用いた耐震壁を開発、実用化

プレスリリース

大林組は、旭硝子マテックス(株)(本社:神奈川県相模原市、社長:下坂秀樹)と日本シーカ(株)(本社:神奈川県平塚市、社長:マーセル・スミッツ)と共同で、鉄と同等の強度でアルミより軽量なガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を格子状に配したブロックを用いて、簡易に短工期で、かつ居ながらにして施工することができる耐震補強工法を開発、実用化しました。美観に配慮し、採光性や通風性にも優れた耐震壁です。

既存建物に耐震補強を施す方法の一つとして、耐震壁を増設する方法があります。従来、耐震壁を増設するには、あと施工アンカーを打設し、鉄筋を組み、型枠を設け、コンクリートを流し込むという方法が一般的ですが、それぞれの工程で騒音と振動が発生し、またコンクリートの打設時にはポンプ車と配管を配置するなど大掛かりな設備が必要でした。そのため、営業中の商業施設や学校などでは施工が難しく、休日や夜間を選んで施工するなどの方法が取られていますが、病院などでは休日が無いためにより施工が難しく、騒音・振動が少なく、かつ短工期の施工方法が望まれていました。
大林組では、これらの課題を解決したコンクリートブロックによる耐震補強工法「3Q-Wall(※1)」を開発し、既に、大学や商業施設、オフィスビル、病院などの耐震補強に幅広く採用されています。適用した物件(ホテル)では、隣に営業中の商業施設があったにもかかわらず、施工していることが分からないほど、静かに工事を行うことができ、高い評価を得ていますが、これらの耐震壁は、一般的に、外観のイメージを損なったり、圧迫感を与える場合があるなどの課題がありました。

※1 3Q-Wall:プレキャストコンクリートブロックを鉄筋の組立てに合わせて積み上げ、内部に高強度グラウトを簡易な設備で充填するだけで耐震壁を構築することができる、低騒音、低振動、かつ短工期を実現した耐震補強工法。強度は、従来の工法と同等のせん断強度を確保しており、病院、学校、養護施設、商業施設などに最適な補強工法で、平成14年7月に(財)日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得しています


今回、大林組が開発した耐震補強工法は、建物を使用した状態でGFRPブロックを積み上げ、粘性の高い接着剤で接合することによって耐震壁を構築することができる、低騒音、低振動、居ながらにして、かつ短工期を実現した耐震補強工法です。GFRPブロックは、格子状のガラス繊維強化プラスチックと周辺フレームで構成されており、開口率が高く、採光性、通風性に優れています。ブロックの色は自在で、従来の耐震壁のような圧迫感がなく、美観に配慮した耐震壁を構築することができます。大林組がすでに開発・実用化したコンクリートブロック(「3Q-Wall」)と併用することで、さらに耐震性能の向上を実現することができます。

今回、開発したGFRPブロックを用いた耐震補強工法の特長は次のとおりです。
  1. 美観に配慮した耐震補強を行うことができます
    格子状でほとんどが開口部と言えるほど開口率が高く、ブロックの色は自在なので、従来の耐震壁の課題であった圧迫感や、外観のデザインへの影響も少なく、美観に配慮した耐震補強を行うことができます。

  2. 短期間に工事を完了
    GFRPブロックを接着剤を用いて積み上げるだけなので、非常に短期間での施工を可能としました。また、GFRPブロックは軽量であるため、現場内での運搬をはじめ施工性にも優れています。

  3. 騒音、振動がほとんどありません
    鉄筋の特別な加工や型枠の施工、大掛かりなポンプ車によるコンクリートの打設が無いため、ほとんど音が発生しません。休みのない病院でも、安心して施工することができます。

今後は、今回開発したGFRPブロックを用いた耐震補強工法を「3Q-Wall」の新しい技術として、美観を重視する商業施設や、採光性、通風性を重視するオフィスや病院、学校、駐車場などへ積極的に提案していきます。また、大林組では、コンクリートブロックとGFRPブロックを併用した耐震補強の提案を積極的に行っていきます。
なお、本工法は、11月28、29日に、大林組本店(大阪市中央区)にて開催予定の「ビルケアフォーラム in 大阪」に出展する予定です。

試験体作成状況

GFRPブロック

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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