一年を通じて窓際の快適性を保ち、空調の負荷を低減する新型ダブルスキンを開発・実用化

ダブルスキンとエアーフローウィンドウの両方の機能を選択できる「NEXAT」(ネクサット)

プレスリリース

大林組と新日軽(株)(本社:東京都品川区、社長:長谷川和之)と旭硝子(株)(本社:東京都千代田区、代表取締役:石津進也)は共同で、システム化された新型ダブルスキン「NEXAT」(ネクサット)(商標登録出願済)(Natural Energy × Active Technology)を開発・実用化しました。
ダブルスキン(※1)とエアーフローウィンドウ(※2)の両方の機能を使い分けることができ、また、システム化により1フロア単位で機能を調節できるので、従来と比べて消費エネルギーを最大32%削減できるほか、熱環境改善効果や設計自由度、施工性などが向上します。

※1 ダブルスキン:窓際の熱環境を快適に保ち、空調機器の負荷を低減するために、ビルの窓(外壁)を複層化した構造。換気のための開口部が外側窓の上下にあり、下部開口部から複層化した窓(外壁)内部に外気を取り入れ、上部開口部から排出することで換気を行うシステム。日射熱によって温まった空気の浮力を利用して換気を行う(複層化窓の総称としても用いられる)

※2 エアーフローウィンドウ:構造はダブルスキンと似ているが、換気のための開口部が室内側にある。下部開口部から複層化した窓(外壁)内部に室内の空気を取り入れ、天井裏ダクトに回すことで換気を行うシステム。天井裏のファンを回すことによって強制的に換気を行う


近年、地球温暖化が叫ばれる中、オフィスビルにおいても、さらなる省エネが求められています。オフィスビルの省エネや熱環境改善を実現する手法に、ダブルスキンやエアーフローウィンドウがありますが、冬期の場合、ダブルスキンはエアフローウィンドウに比べて室内のコールドドラフト(※3)を抑える効果が低く(室内側窓面の冷気を排出する方法が無い)、また、夏期の場合、エアーフローウィンドウは日射熱によって高温となる空気が天井裏に回るため、空調機器に余計な負荷が掛かるという課題がありました。

※3 コールドドラフト:冬期、冷えた窓ガラスに接して温度が下がった空気が、窓に沿って下降する気流


今回、開発した「NEXAT」(ネクサット)は、システム化によって1フロア単位でダブルスキンとエアーフローウィンドウの両方の機能を選択できる、従来とは異なる新しいダブルスキンです。
「NEXAT」(ネクサット)は、1フロア単位でダブルスキンの外側と室内側の双方の上下(計4ヵ所)に開口部を設け、各々の開口部に開閉機能を持たせているため、フロアごとに外気を利用してダブルスキン内の空気の流れを調節し、一年を通じて熱環境を快適に保ち、かつ、省エネを実現することができます。さらに、ダブルスキン内に設置する電動ブラインドは、直射日光をさえぎりながら、できる限り自然光を取り入れられるように、角度調整が可能です。

ダブルスキン上下の開口部の開閉パターンには、以下の3つがあります。
  1. 夏期モード
    ブラインドに受けた日射熱による対流で自然換気を促し、室内の負荷となる日射熱を外部に排出する
    (下部開口部からダブルスキン内へ外気を取り入れ、上部開口部から外へ排出する)
     
  2. 中間期モード
    気候の良い中間期には、冷涼な外気を室内に取り入れて自然通風による冷房を行うと共に、夜間には室内に蓄積された余分な熱を排出する(ナイトパージ)
    (上下開口部からダブルスキン内や室内、天井裏ダクトへ外気を取り入れる)
     
  3. 冬期モード
    日射のない場合や夜間には不快なコールドドラフトの室内内部への侵入を防止し、また、日射のある場合には、その熱を回収し暖房に利用する
    (下部開口部からダブルスキン内へ室内空気を取り入れ、上部開口部から天井裏ダクトへ回す)

ダブルスキン上下の開口部に取り付ける切り替えダンパーの操作と、ダブルスキン内に設置するブラインドの角度調整は、大林組が提案するビル統合管理システム「FRiGATE」と組み合わせることで、より効率的な調節が可能となります。外気温度などの状況に応じて、室内冷暖房の動作と連動させることにより、細かな調節を自動制御で行えるのでさらなる省エネや熱環境改善を実現します。

今回、開発した「NEXAT」(ネクサット)の特長は次のとおりです。
  1. 夏期はダブルスキンの機能により窓際の熱環境を快適に保ちます
    ダブルスキン内でブラインドに当たって発生した日射熱によって起こる浮力で上昇していく高温の空気を上部の開口部から排出し、下部の開口部からダブルスキン内に外気を取り入れることで換気し、ダブルスキン内の空気の温度上昇を防ぎます。

  2. 冬期はエアーフローウィンドウの機能により窓際の熱環境を快適に保ちます
    コールドドラフトを下部開口部からダブルスキン内に取り込み、天井裏ダクトに回すことで、室内内部へのコールドドラフトの侵入を防止します。また、日射のある場合にはダブルスキン内において日射熱を回収して暖房の補助とします。

  3. 1フロア単位での細かな機能調節が可能です
    1フロア単位で機能を選択できるので、細かな調節が可能です。

  4. 消費エネルギーを大幅に削減します
    以上の機能により、一年を通じて窓際の熱環境を快適に保て、空調機器の負荷を低減できます。結果、従来のシングルスキンのビルに比べて、最大で消費エネルギーを32%削減できます。また、ダブルスキンと比べても最大で消費エネルギーを11%削減できます。

  5. ペリメーターゾーン専用の設備機器の設置が不要です
    従来、外気の影響が大きかった窓まわり(ペリメーターゾーン)の熱環境を快適に保つために窓際に設置されていた専用の空調機器が不要です。

  6. 設計の自由度や施工性が向上します
    1フロア単位で機能が完結するので、設計の自由度が向上します。また現場では、システム化された「NEXAT」(ネクサット)を取り付けていくだけなので施工性も向上します。

大林組は、この「NEXAT」(ネクサット)をはじめとする各種の省エネ技術を組み合わせた、次世代型省エネビルモデル「エコ・トラッド」を既に構築しており、建物の省エネ提案に活用しています。
大林組は今後、ビルの省エネ化および熱環境改善を実現する手法の一つとして「NEXAT」(ネクサット)を積極的に提案していきます。

新型ダブルスキン「NEXAT」(ネクサット)

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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