RC構造物の耐力低下予測システム「RC耐力診断ナビ」を開発

プレスリリース

pointer RC構造物の耐力低下予測システム「RC耐力診断ナビ」を開発
パソコン上の簡単な操作でRC構造物の耐力低下を予測できます
  大林組は、必要最低限の入力データとパソコン上の簡単な操作で、RC構造物が経年劣化することによって起こる耐荷力の低下を予測できるシステムを開発しました。本システムを用いることにより、RC構造物の劣化の進行と耐荷力の低下を的確に把握し、適切なリニューアル計画の立案ができます。

従来、コンクリート構造物の維持管理を行なう上で、補修・補強の判断は次のようになされていました。
・耐久性(主に補修):外観変化や簡単な調査に基づいた劣化度合いから各企業ごとの補修・補強マニュアルなどに従い、リニューアル対策の判断を下す。
・耐荷性(主に補強):耐荷力に不安がある場合には、劣化に関する定量的データ(鉄筋腐食量、コンクリート強度、剥離状況など)をもとに、現時点における耐力評価を行い、リニューアル対策の判断を下す。
このように、いずれも現状での判断が基準となりますが、実務レベルにおいては「あと何年ぐらい大丈夫なのか」とか「いつ頃までに対策をしないといけないのか」といった将来的なことが重要になってきます。しかし、劣化予測の基礎理論による計算値と実測値とが合致し難いこと、さらに供用持続可否の判断基準にはコンクリート剥落のように耐荷力以外の要因も含まれるのでシステム化されにくいことなどの理由により、将来的なことに対しては明確な回答ができないのが現状でした。

今回開発した「RC耐力診断ナビ」は、現況の調査データをもとにRC構造物の劣化予測を行ない、さらに鉄筋が腐食した場合の構造物の耐荷力を予測し、その結果を定量的にグラフ化できるシステムです。必要最低限の入力データと簡単なパソコン操作で容易に劣化予測ができるので、今後の維持・補修やリニューアル計画の方向性を示す支援ツールとして有効です。

「RC耐力診断ナビ」は、劣化の要因を塩害とした場合のRC構造物の耐荷力低下予測を、4つの段階に分けて考えています。
・T期(潜伏期):コンクリート中へ塩化物イオンが浸透し,鉄筋の腐食が開始するまでの時期における塩化物イオンの濃度と鉄筋腐食の開始時期を予測します。
・U期(進展期):鉄筋の腐食が進行し,コンクリートのひび割れ発生時期までを予測します。
・V期(加速期):コンクリートのひび割れ発生からかぶりコンクリートが剥離するまでを予測します。
・W期(部材の欠落期):かぶりコンクリートが剥離した後の、鉄筋腐食量の予測をします。
上記に示したいずれの段階においても塩分濃度を算出します。鉄筋の腐食が開始した後の全ての段階において、鉄筋腐食量、ひび割れ幅などを算出し、コンクリートの剥落や鉄筋径の減少によるRC構造物の耐荷力低下を予測算出します。
それぞれの劣化段階において、コンクリートや鉄筋などの材料劣化の予測だけでなく、それに伴うRC構造物の耐荷力の低下を予測して、構造物の診断を実施できるところに本システムの特長があります。

診断に必要な最小限の入力データは、@環境条件、A部材(材料)特性、B調査実測値(竣工後経過年・塩分濃度・鉄筋腐食量・ひび割れ幅など)です。まず、@とAを入力し、その条件下における鉄筋腐食量の経年曲線(標準曲線)が得られます。この曲線をBの実測値と比較し、差があるようであれば標準曲線を実測値に補正します。RC構造物の経年劣化は、設計条件の相違や考慮されていない劣化要因の影響など様々な不確定要素が含まれているため、必ずしも理論値(標準曲線)をとるとは限りません。実際の劣化速度を考慮するには、この実測値に対する補正が重要になります。
これらにより求められた耐荷力の低下予測は、視覚的にも分かりやすいようグラフ化され、また定量的に表示されるので、RC構造物の補修・補強の判断を行うための診断には、極めて有効なツールとなります。

「RC耐力診断ナビ」の特長は次のとおりです。
  1. RC構造物の経年劣化と耐荷力の低下を関連付けて予測します。

    コンクリートや鉄筋などの単なる材料の経年劣化予測だけでなく、構造物の耐荷力の低下という現実的な問題に視点をあてて今後の予測を行います。
     
  2. 実際の劣化速度を考慮した劣化予測ができます。

    設計時のデータにより算出された劣化予測の標準曲線を、調査データの実測値に即した補正を行った予測曲線に変換することで、実際の環境条件や施工条件における劣化速度を反映した的確な予測が可能になります。
     
  3. RC構造物の補修・補強の判断を行うための診断支援ツールとして極めて有効です。

    予測解析は数分で完了し、視覚的にも分かりやすいグラフの形で表示されます。また、RC構造物の耐荷力低下の程度も定量的に表示されるので、部材・部位ごとに適用させることにより,構造物全体の耐荷力経年劣化評価に結び付けることができます。

今後、大林組は、「RC耐力診断ナビ」を、官公庁や地方自治体、JHやJRの管理するRC構造物の経年耐荷力診断システムとして積極的に営業展開し、早い時期での効率的な維持・補修、リニューアル計画立案の支援を行なっていきます。
以上
■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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