耐久性に優れた高さ40mのコンクリート製風車タワーをわずか6日で構築

プレキャスト化を図ることで短工期・低コストで施工します

プレスリリース

大林組と(株)竹中工務店(本社:大阪市中央区、社長:竹中統一)は共同で、高さ40m程度の風力発電施設のタワー(支柱)部分をコンクリート製部材でユニット化することで、工期とコストを大幅に低減することができる工法を開発しました。工場で製作したプレキャスト部材を現場で組み立てるだけなので、現場での加工作業を省略することができ、耐久性に優れた高品質なコンクリート製の風車タワーを超短工期で施工できます。

近年、クリーンエネルギーへの需要から風力発電に注目が集まっており、全国各地で風車の建設が進んでいます。従来、風車のタワー部分は、軽量でかつ高強度な鋼製がほとんどでした。鋼製とすることでクレーンで揚重する単位を大きくすることができ、短工期での施工が可能となります。しかし、一方で防錆塗装などの定期的なメンテナンスが必要であるなどの課題がありました。
鋼製に比べて現場打ちコンクリート製は、高剛性であるうえに耐久性にも優れ、メンテナンスの手間がほとんど必要ありませんが、一方で施工の際に現場でのコンクリート打設に手間と費用がかかり一般に工期とコスト面で割高となっていました。

このたび開発した工法は、工場で製作したPCa(プレキャストコンクリート)部材を現場で組み立てるだけで、40m級のコンクリート製の風車タワーを短工期で施工することができる工法です。
高さ約2mの輪切り状のPCa部材を、直径を自由に変えることができる「可変自在型枠」を用いて、上部に行くに従って少しずつ細くなるように現場付近のPCa工場で製作します。現場に搬入したPCa部材は、まず3段を連結して1ユニット(高さ約6m)とし、連結部に高強度モルタルを充填して確実に接合していきます。各ユニットは、大型クレーンで積み重ねます。現場での鉄筋の組み立てや型枠の加工、コンクリート打設作業が不要なので、1日あたり2ユニット(高さ約12m)の速さで構築することができます。PCa工場で製作された高品質の部材を用いた高耐久かつ高品質な40m級の風車タワーを、鋼製の場合と同程度の工期で施工することができます。
また、ユニット間の接合はあらかじめユニット製作の際に内部に取り付けておいた足場を利用して行うので、仮設の外足場を設ける必要もなく、施工性や安全性が大幅に向上しコストを低減することもできます。

今回、開発した工法の特長は次のとおりです。
  1. 40m級の風車のタワー部分をわずか6日で構築します
    従来のコンクリート製タワーの施工は、現場での鉄筋組立てや型枠の加工、コンクリート打設作業が必要だったので、構築に1ヵ月程度を要していましたが、プレキャスト化することで、わずか6日で構築することができます。

  2. 鋼製と同等のコストで施工できます
    タワーの構築時に現場でのコンクリート打設作業や仮設の外足場の設置が不要なので、現地での施工手間を大幅に削減することができます。今回開発したPCa部材用の可変自在型枠の採用と施工性の高い接合方法によってコストを低減できるので、鋼製と同程度のコストで施工可能です。

  3. PCa製とすることで高品質の駆体を構築します
    現場付近のPCa工場で高品質の部材を製作して現場で組み立てます。高強度で耐久性に優れたコンクリート製の風車タワーを構築することができます。

  4. ランニングコストを低減します
    鋼製と異なり、防錆のための塗装などの定期的なメンテナンスが不要なので、ランニングコストを低減できます。

今後、わが国では用地不足から風車の設置場所を洋上に求めるケースが増加することが見込まれています。大林組と竹中工務店は、海水や潮風に強いコンクリート製の風車タワーを短工期、低コストで施工する工法を積極的に提案していきます。

可変自在型枠

ユニット設置状況

以上

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