耐腐食性を高めたRCセグメントの継手「PRジョイント」を開発

錆びない継手を用いてセグメントのリング間をワンタッチで接合できます

プレスリリース

大林組と石川島建材工業(株)(本社:東京都千代田区、社長:藤本幸男)、静岡軽粗材(株)(本社:静岡県浜松市、社長:南波壽)は共同で、シールド工事において従来、鋼製が一般的であったRCセグメントのリング間継手にポリアミド系の樹脂素材を用いることで、高い耐腐食性を確保した「PR(プッシュ‐レジン(樹脂製))ジョイント」を開発しました。腐食が予想される下水道トンネルなどでも継手の防食対策が不要になるのでコストダウンが可能になります。さらに、セグメントをワンタッチで簡単に接合できる構造になっているので、施工性が向上します。

現在、シールドトンネルのセグメントに使用されている継手は、ボルトで締め付けて結合する鋼製の継手が広く採用されています。しかし鋼製の場合、硫化水素等により金属の腐食が予想される下水道トンネルなどでは、継手の防錆塗装やモルタルでの保護などの防食対策が必要となっていました。また、近年、セグメント同士をワンタッチで簡易に接合できる鋼製の継手が実用化されていますが、大型のものが多く割高となることから、特に小口径の下水道トンネルでは、施工性に優れコンパクトで安価な継手の開発が求められていました。

今回開発した「PRジョイント」は、セグメントのリング間を接合する継手を耐腐食性が高い樹脂製にしたもので、従来の鋼製の継手に防食対策を施した場合に比べ、低コストで製作することができます。また、鋼製の継手に比べて軽量で扱いやすく、ワンタッチで簡単に接合できる構造であるため、施工性が向上します。さらに、継手の凸型部材は、あらかじめセグメントに内包されているので、セグメントの取扱い中に継手が破損することを防止し、取扱いが容易です。

「PRジョイント」の仕組みは次の通りです。

1. 凸型の部材2個と、これらを接合するため両端が凹型になったホルダーから構成されています。
2. セグメントの接合面には、あらかじめ凸型部材を内蔵しておきます。
3. セグメントの凸型部材に凹型のホルダーをはめ込みます。
4. セグメントを後方にスライドさせ、すでに組み立てが完了しているセグメントリングに接合して、凹型のホルダーを凸型部材に連結します。

今回、開発した「PRジョイント」の特長は次の通りです。

  • 継手の耐腐食性が向上

    ポリアミドを主成分とする継手なので、硫化水素や塩分など腐食環境に対する耐久性に優れています。そのため、継手の腐食が予想される下水道トンネルへの適用に最適で、劣化を防止するための対策が不要です。


  • 施工性が向上

    従来の鋼製ボルト式の継手で必要だったボルトの締結作業を省略でき、ワンタッチで簡易に接合できるので、セグメントの組立時間が短縮できます。また、従来に比べて軽量なので、扱いやすく施工性に優れています。


  • 内面が平滑なトンネルを構築

    継手がセグメント本体に内蔵されるため、従来、セグメントに設けてあったボルト締め用の穴(ボルトボックス)が不要となります。そのため、ボルトボックスにモルタルなどの充填を行わなくても、内面平滑なトンネルの構築が可能です。


  • 内面の目地コーキングが不要

    従来、セグメント内面から継手部への漏水を防止するために、防食対策として行っていた目地コーキング作業が不要となります。


  • 小口径のトンネルにも最適

    コンパクトな形状なので下水道トンネルなどの小口径のセグメントにも最適です。


すでに、継手単体での試験により強度や剛性の検証を行い、十分な性能を確認しています。今後、大林組では腐食に強くかつ施工性も向上させた「PRジョイント」を、シールドトンネルのライフサイクルコスト低減に向けた技術として、積極的に提案していきます。


以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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