コスト、工期を従来の6割程度に抑えたシールドトンネルの地中連結工法を開発 ~トンネルの外に出ることなく、非開削でトンネルを連結する「ジャンクションビーム工法」~

プレスリリース

pointer コスト、工期を従来の6割程度に抑えたシールドトンネルの地中連結工法を開発
トンネルの外に出ることなく、非開削でトンネルを連結する「ジャンクションビーム工法」
  大林組は、地下の自動車専用道路などのシールドトンネルの分岐・合流区間をトンネルの外に出ることなく施工することができる「ジャンクションビーム工法」を開発しました。連結部分の上、下部に、高剛性の梁を用いることで、無支柱の連結を実現します。従来、分岐合流区間を設けるのに主流であった開削やNATM工法よりも、コスト、工期ともに大幅な削減が期待でき、かつ自由に分岐・合流場所を選定することができます。
NATM工法:
トンネル周囲の地山に打ち込んだロックボルトと、地山表面に吹付けた吹付コンクリートとによって地山を補強し、トンネル掘削断面を支保する工法。主に硬い地盤である山岳のトンネルに用いられる工法だが、改良により都市部の比較的軟弱な地盤でも用いられるようになった工法。New Austrian Tunnelling Methodの略。
自動車専用道路トンネルの分岐や合流部、鉄道トンネルの渡り線部は、本線と分岐線との連結部分に長い(200m程度)織り込み区間が必要です。シールドトンネルにより施工されるこのような部分は、従来、地表からの開削工法により函型の構造物を構築するか、あるいは、複数のシールドトンネルを並行して近接施工した後、地表から地盤改良を行ったうえで、トンネル同士をNATM工法などで連結させていました。しかし、前者では分岐合流部の施工箇所が地表からの開削工事ができる場所に限定され、後者では地上への影響を配慮しながら、地下水対策や地盤変状対策などが必要でした。
近年、都市部において地上からの開削工事が難しくなり、また大深度地下でのトンネル構築が増える傾向にあることから、大林組では地中工事だけでシールドトンネルを連結することができる「地中アーチ工法」を開発し、積極的に提案してきました。
地中アーチ工法:
大林組が既に開発したシールドトンネル地中連結工法。複数のシールドトンネルをまたぐアーチ状の構造物から連結部分の上部を“吊り”、下部を永久アンカーで固定することにより、中柱の無い連結を可能とした工法。
今回、大林組では、トンネルの外に出ることなく地中工事だけでトンネルを連結することができ、しかも大幅なコストと工期の縮減を実現する「ジャンクションビーム工法」を開発しました。連結部分の上、下部に高い剛性の梁を60cm程度の間隔に設けて、連結部分にかかる荷重をトンネルの覆工へ受け流すことで、無支柱の連結を実現します。また、セグメントとパイプルーフ(鋼管φ100~150mm)で囲まれた地山の露出がほとんどない状況で工事を進めることができるので安全に施工を行うことができます。「ジャンクションビーム工法」によるシールドトンネル連結の手順は次のとおりです。
  1. 本線及び分岐線シールドトンネルを構築します。
  2. 本線のセグメントから、トンネル間の上部と下部に薬液注入による地盤改良を施し、必要に応じて鋼管による補強(パイプルーフφ100~150mm)を行います。
  3. 本線及び分岐線のそれぞれの内部に、上下の高剛性梁の一部を兼用させた支保工を設置したうえで、トンネル間のセグメントを撤去します。
  4. セグメントとパイプルーフで囲まれた部分の土砂を除去した後、連結部専用のセグメントを組立て、本線と分岐線の高剛性梁を上下とも接続します。
  5. 連結部専用のセグメントの背面をグラウトで充填し、内部の支保工を撤去します。
「ジャンクションビーム工法」の特長は次のとおりです。
  1. 地上から施工することが困難な場所でも施工可能
    従来、自動車専用道路トンネルなどの長い分岐合流区間の設置場所は、基本的に開削工事が可能な場所に限定されていましたが、「ジャンクションビーム工法」を用いることで、自動車専用道路の分岐合流部などをどこにでも施工することが可能となります。
     
  2. トンネル内の連結部分の支柱が不要
    上部の高剛性梁が連結部分上部の荷重に対抗し、下部の高剛性梁が連結部分下部の荷重に対抗することで、トンネル内の連結部分に支柱を設置しなくても、安定した構造を確保し、車輌が通行する建築限界を十分に確保することができます。
     
  3. コスト、工期ともに大幅な削減を期待できます
    従来の開削工法による分岐合流部の施工と比較した場合、コスト、工期とも6割程度に抑えることが期待できます。
     
  4. 掘削土量を大幅に削減
    開削工法やNATM工法と比較した場合、掘削土量を大幅に削減できるうえに、地盤の変状もほとんどありません。また連結場所を自由に設定できるので、必要以上に分岐線を延長することによる掘削土量の増大もありません。
     
  5. 耐震上有利な構造形式
    従来の函型のものと比較して柔軟性の高い構造形式なので、耐震性も向上しています。
分岐線を設ける際は、既に大林組が三菱重工と共同で開発した「地中ディバージェンス工法」を用いて分岐線シールドを地中で発進させることもでき、本線及び分岐線シールドの連結部分を「ジャンクションビーム工法」で連結することで、非開削で分岐線の構築から連結までの一連の工事を行うことが可能となります。

今後、大林組は、今回開発した「ジャンクションビーム工法」と、既に開発した「地中ディバージェンス工法」や「地中アーチ工法」を、都市部の自動車専用道路トンネルや、鉄道トンネルの渡り線部分などの構築に際し、条件に合わせて提案していきます。
  高剛性梁の設置間隔
以上
  ■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
TEL 03-5769-1014