「ガラス繊維強化プラスチックブロック」を用いた耐震壁工法を初適用

採光性や通風性を確保した新しい耐震補強の工法です

プレスリリース

大林組は、すでに開発しているガラス繊維強化プラスチック(GFRP)ブロック(※1)を、UFJ銀行の茨木西寮(所在:大阪府茨木市)の耐震補強工事に初めて適用しました。GFRPブロックは、アルミより軽量でありながら鉄と同等の強度を有するガラス繊維強化プラスチックを用いたブロックです。従来の工法では2週間程度の工期を要する今回の耐震補強工事を、このブロックを用いることで、建物を使用しながら、わずか6日間で施工しました。

※1 GFRPブロック:大林組が、旭硝子マテックス(株)(本社:神奈川県相模原市、社長:島崎重治郎)と日本シーカ(株)(本社:神奈川県平塚市、社長:マーセル・スミッツ)と共同で開発したガラス繊維強化プラスチック製の耐震補強用のブロック


既存建物に耐震補強を施す方法の一つとして、耐震壁を増設する方法があります。従来、耐震壁を増設するには、鉄筋を組み、型枠を設け、コンクリートを流し込むという方法が一般的で、それぞれの工程で騒音と振動が発生し、またコンクリートを流し込む時にはポンプ車と配管を配置するなど大掛かりな設備が必要でした。そのため、営業中の商業施設や学校、病院などでは施工が難しく、騒音・振動が少なく、かつ短工期の施工方法が望まれていました。

大林組では、既に、ブロックを積み上げることで耐震壁を構築する、低騒音、低振動、かつ短工期の耐震補強工法「3Q-Wall」を開発しています。「3Q-Wall」には用途に応じて、プレキャストコンクリートブロックを用いるメニューと、GFRPブロックを用いるメニューがあります。このうち、プレキャストコンクリートブロックを用いた工法は、既に大学や商業施設、オフィスビル、病院などの耐震補強に幅広く採用されています。適用した物件では、隣接して営業中の商業施設があったにもかかわらず、施工していることが分からないほど、静かに工事を行うことができ、高い評価を得ています。
今回、採用した工法は、GFRPブロックを用いた「3Q-Wall」工法です。ブロックを積み上げ、粘性の高い接着剤で接合するだけで耐震壁を構築できるので、低騒音、低振動で、建物を使いながら、短工期で耐震補強を行うことができます。GFRPブロックは、格子状のガラス繊維強化プラスチックと周辺フレームで構成されており、ブロック自身に多くの開口があり、採光性、通風性に優れています。ブロックの色は自由に選択でき、従来の耐震壁のような圧迫感がなく、美観に配慮した耐震壁を構築することができます。

今回、採用したGFRPブロックを用いた耐震補強工法の特長は次のとおりです。
  1. 美観に配慮した耐震補強工法

    ガラス繊維強化プラスチックブロックには、多くの開口があり、また色も自由に選択できるため、従来の耐震壁の課題であった圧迫感や、デザインへの影響も少なく、美観に配慮した耐震補強を行うことができます。


  2. 施工性に優れ、短工期で施工が可能

    GFRPブロックを接着剤を用いて積み上げるだけなので、非常に短期間での施工を可能としました。今回の工事では、6日間で耐震壁を構築しています。また、GFRPブロックは軽量であるため、現場内での運搬をはじめ施工性にも優れています。


  3. 低騒音で低振動な工法

    鉄筋の組立や型枠の施工、大掛かりなポンプ車によるコンクリートの打設及びモルタルグラウトの充填などが無いため、ほとんど音が発生しません。休みのない病院などでも、安心して施工することができます。
    また、工事に際して使用する主要資材が、周辺フレーム・ブロック・接着剤の3種類のみであり、セメント・水・鉄筋など重量物の運搬を大幅に削減しています。


  4. 環境にやさしい工法

    ブロックを積み上げることで補強ができるので、ベニヤ型枠を使用しません。森林保護や廃棄物削減にも貢献する地球環境にやさしい工法です。

大林組では今後、今回採用したGFRPブロックを用いた耐震補強工法を、美観を重視する商業施設や、採光性、通風性を重視するオフィス、病院、学校などへ積極的に提案していきます。


以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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