大林組とトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ。本社:愛知県豊田市、社長:張富士夫)は共同で、代表的な土壌汚染原因物質であるトリクロロエチレン(TCE)などによって汚染された土壌に、微生物を添加して浄化する技術を世界で初めて実用化しました。 大林組は、近年の汚染土壌の顕在化の背景から、土壌浄化に対する取組みを強化してきました。クウェートでの油汚染土壌のバイオ処理をはじめ、微生物利用による土壌浄化にも多くの実績を上げています。TCEの土壌浄化に関しても、環境に優しい有効な技術の開発を進めてきました。 トヨタは、創業以来、「モノづくり、車づくりを通して社会に貢献する」ことを目指して企業活動を続けてきました。近年は、全社的に環境問題への取組みを強化する中、社会に役立つ活動を目的にバイオ技術を用いた研究開発を行ってきており、微生物の有効利用を重要と考えてTCE分解微生物の研究を進めてきました。 今回の技術開発(積上げ養生型バイオレメディエーション処理システム)では、お互いの技術を持ち寄り実用化に繋げました。トヨタが、TCE分解微生物の発見と培養技術の開発を行い、大林組が微生物を用いた土木工法を開発しました。 TCE等の汚染土壌を浄化する従来技術は様々な種類がありますが、それぞれに長い浄化期間、割高なコスト、使用する化学物質の安全性、などの問題があり、短期間、低コストで且つ安全に浄化できる技術が求められていました。 今回開発した技術は、汚染された土壌に、高性能なTCE分解微生物と微生物の活動環境を改善する土壌改良資材を混合して浄化するもの(下図参照)です。更に、混合などの浄化作業中に気化したTCEは回収・処理を行うので、大気中に汚染物質を放出しません。 従来技術では1週間~4週間程度かかる浄化期間を24時間程度に短縮し、さらに、微生物を混合した土壌を積上げておくだけで浄化できるため、浄化コストも従来技術に比べて3割程度低減することを可能にしました。 用いる微生物は自然界から選び出しており、遺伝子組換えは行っておらず、様々な試験を実施して安全性を確認しています。また、浄化を行うにあたり化学物質は使用しないため、環境への影響はありません。このように新浄化技術は、安全で環境にやさしく、また従来に比べて浄化期間の短縮、コスト低減というメリットがあります。また、昨年秋の実規模レベルでの実証実験でその効果を確認しています。 本技術のTCE汚染土壌への適用については、経済産業省の第二種利用(開放系)に係る「組換えDNA技術工業化指針」に基づく適合申請を行っており、パブリックコメント募集を含めた審議の結果、国内で初めて汚染場所を特定せずに微生物を添加してTCE汚染土壌を浄化する技術として適合確認を受けました(2004年4月9日)。 今後は、本技術の活用準備が整い次第、大林組が全国展開を目指します。 「積上げ養生型バイオレメディエーション処理システム」の特長は、以下の通りです。
以上
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大林組、トヨタ自動車(株) バイオ技術を活用した土壌浄化技術の開発に成功
経済産業省の適合確認も取得
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