低騒音、低振動の耐震補強工法「3Q-Wall工法」で、大規模マンションをリニューアル

居住性を確保しながら、従来の半分の工期で工事を行っています

プレスリリース

大林組は、大阪府枚方市で、すでに開発・実用化しているプレキャストブロック耐震壁「3Q-Wall(サンキューウォール)」を用いた大型マンションの耐震改修工事を施工しています。総戸数1,200戸、全6棟のマンションの1階部分に、延べ2,000m²、134ヵ所にのぼる耐震壁を設置するもので、耐震壁の工事としては最大規模のものです。
既存マンションの耐震補強工事は、住民の居住性を確保するため、静かさや工期の短かさが要求されます。「3Q-Wall工法」は、コンクリートブロックを積み上げることで耐震壁を構築できる画期的な工法です。騒音や振動を発生させず、従来の半分程度の工期で耐震化できるこの工法を管理組合様に提案し、今回の工事を受注することができました。

【工事概要】
工事名称 :くずはセンチュリータウン耐震等改修工事
施工場所 :大阪府枚方市楠葉花園町5番地
発 注 者 :くずはセンチュリータウン管理組合
構  造 :SRC造
工  期 :2004年6月1日~2005年1月31日

阪神淡路大震災以降、全国的に大きな地震が頻繁に発生しており、既存建物の耐震補強への需要が高まっています。既存建物を耐震補強する方法の一つに耐震壁を設ける工法がありますが、従来は鉄筋を組み、型枠を設け、コンクリートを流し込むという方法が一般的で、この方法では施工の過程で大きな騒音と振動が発生します。さらにコンクリートの打設時にはポンプ車と配管を配置するなど大掛かりな設備が必要で、長い工期と手間がかかっていました。

大林組は、これらの課題に対応するため「3Q-Wall工法」を開発しています。この工法は、鉄筋を組んで特製のプレキャストコンクリートブロックを積上げ、内部に高強度グラウトを充填するだけで耐震壁を構築することができる、画期的な耐震補強工法です。ブロックを積み上げる方式なので、低騒音、低振動、かつ短工期で施工することができます。従来の工法と同等のせん断強度を有しており、既に財団法人日本建築総合試験所から耐力や変形能力に関する建築技術性能証明を取得しています。
過去に適用した物件では、隣に営業中の施設があったにもかかわらず、施工していることがわからないほど、静かに工事を行なうことができました。その点が評価され、学校や病院、ホテル、商業施設、コンピュータセンター、オフィスビルなど幅広く、多用途の建物で耐震補強工事に採用されています。

「3Q-Wall工法」の特長は次のとおりです。

  1. スピーディに耐震補強工事を実施

    特製のプレキャストコンクリートブロックを積上げ後、簡易な設備で高強度グラウトを流し込むだけなので、省スペースで施工が可能なうえ、従来の半分程度の工期を実現しました。


  2. 低騒音、低振動の工法

    鉄筋の特別な加工や型枠の施工、大掛かりなポンプ車によるコンクリートの打設が無いため、ほとんど音や振動が発生しません。居住中のマンションをはじめ、終日機能している病院や医療福祉施設、ホテル等でも、安心して施工することができます。


  3. 強度、コストとも従来工法と同等

    高強度コンクリートを使用した特製のプレキャストコンクリートブロックと高強度グラウトの組合わせにより、強度は在来工法と同等を実現しています。工事費も従来工法と同程度、条件によっては在来工法を下回ることが可能です。


  4. 環境にやさしい工法

    ブロックを積み上げて補強施工できるので、ベニヤ型枠を使用しません。森林保護や廃棄物削減にも貢献する地球環境にやさしい工法です。

今回の工事では、すでに大林組が開発している「CRS工法」を併用しています。これは、炭素繊維を巻いて柱を補強する耐震工法です。従来の鉄板を巻く補強工法では、溶接の工程が必要だったため施工の際に火気を使用していましたが、CRS工法は不要なので、火災が発生する心配がありません。また、大きな工事機械が不要なので騒音や振動を抑えることができます。

大林組は、今後も「3Q-Wall工法」と「CRS工法」を、低騒音、低振動、短工期の耐震補強技術として積極的に提案し、築年数が経過したマンションをはじめ、耐震化が遅れている学校、病院、ホテル、商業施設などの改修を支援し、社会に貢献していきます。

「3Q-Wall」を用いた耐震改修工事

くずはセンチュリータウン
(大阪府枚方市)

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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