波方基地ブタン貯槽工事で低粉じん吹付け工法「ベルトショット」を本格採用

切羽での粉じん量を大幅に低減し、坑内の作業環境改善に大きな効果を発揮しています

プレスリリース

大林組は、愛媛県今治市波方町(1月16日に越智郡と今治市が合併)で、わが国初の「水封式地下岩盤貯蔵方式」を採用したLPガス(ブタン・プロパン)備蓄施設を建設しています。この工事の中の水封トンネルにおいて低粉じん吹付け工法「ベルトショット」を採用し、坑内の作業環境の改善に大きな効果をあげています。この度、水封トンネル内において粉じん量測定、リバウンド率(はね返り率)測定を実施し、その効果を確認しました。

波方基地ブタン貯槽工事は、地下150m以深に断面積約650m²、長さ430mの大規模地下空洞を掘削して、常温のLPガスを地下水圧で封じ込め貯蔵するための貯槽施設を建設するものです。このうち、安定した水圧をかけ、岩盤に人工的に水を供給するのが『水封トンネル』です。このトンネルは、断面積が約40m²程度と小さく、換気が難しいため、施工を進めていくうえでは、坑内の作業環境を良好に保つことが重要なテーマとなります。
大林組では、三井三池製作所と共同で開発した低粉じん型の吹付け工法「ベルトショット」を、この波方基地ブタン貯槽工事の水封トンネルに本格的に導入しました。
従来、掘削後にコンクリートを地山に吹き付ける場合には、圧送されたコンクリートに圧縮空気を加え、さらに先端ノズル手前で急結剤を吹き込み、先端ノズルから地山に吹き付けて施工するのが一般的です。
しかし、この方法では、コンクリートと粉体の急結剤が完全には混合されず、吹き付けした際に材料の飛散や粉じんを発生させていました。
これに対して「ベルトショット」は、圧縮空気を用いずに、遠心力を利用してコンクリートを投射圧着させるため、トンネル坑内の作業環境の悪化原因となる粉じんの発生量を、従来工法(エア吹付け工法)の1/5~1/10へと大幅に低減することができます。このたびの水封トンネルの工事においても、吹付け箇所近くで視界が十分に確保できるほど粉じんの発生量を抑制できており、坑内の作業環境改善に大きく寄与しています。
測定試験(スラリー急結剤使用)の結果においても、発生粉じん量は、切羽から10m後方で約1.7mg/m³、30m後方で約1.1mg/m³程度、50m後方で約0.7mg/m³という良好な結果を得ました。また、リバウンド率も従来工法(エア吹付け工法)に優る20%以下へと低減できていることが確認できました。

「ベルトショット」によるコンクリートの吹付け工程は、次のとおりです。
  1. コンクリートは、圧縮空気を用いず圧送ポンプで配管内を圧送されます。
  2. 吹付機ヘッド部の直前で、急結剤が供給されます。
  3. ヘッド部に供給された吹付け材料は、ヘッド内で高速走行するベルトに載り、その慣性力で壁面に投射圧着されます。
また、「ベルトショット」の特徴は、次のとおりです。
  1. 粉じん量を大幅に低減
    トンネル坑内の作業環境として特に問題となる切羽付近の粉じん発生量を、1m³あたり、1~2mgに低減し、従来工法と比較して、大幅に粉じんを低減できます。

  2. 中小断面トンネルへの適用性
    中小断面トンネルでは、断面の制限により十分な換気ができない場合があります。そのような状況においては、粉じん発生量自体を大幅に低減できる本工法は、良好な作業環境を確保するうえで特に有効です。

  3. コストダウンが期待できます
    粉じんの発生量を大幅に低減することで、換気設備の軽減など粉じん対策費用の低減によるコストダウンが期待できます。今回の実施工を踏まえて、機械の改良・改善を行い、さらにランニングコストを下げる対策を実施する予定です。
大林組では、「ベルトショット」による施工が作業員からも好評であったことから、今後も坑内作業環境を改善する工法として、「ベルトショット」をトンネル工事に積極的に採用していきます。なお、次の「ベルトショット」採用工事としては、兵庫県日高町発注「(仮称)知見八鹿トンネル工事」を予定しています。

ベルトショットによる吹付状況

従来工法による吹付状況

以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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