開放性と一体性を確保したガラス制振壁による耐震補強の提案を強化します

兵庫県のコンペで理事長賞を受賞

プレスリリース

大林組は、ガラスの周囲に粘弾性体を貼り付け、この粘弾性体に建物の揺れを吸収させることで、制振壁として機能させる「ガラス制振壁」を東京工業大学、旭硝子ビル建材エンジニアリング(株)、住友スリーエム(株)と共同で開発しています。
このたび、兵庫県と(財)兵庫県住宅建築総合センターが主催する「ひょうご住宅耐震改修技術コンペ」において、古い民家をガラス制振壁で耐震改修する提案を行い、計画部門で兵庫県住宅建築総合センター理事長賞を受賞しました。

近年、歴史的に古い建築物を積極的に保存するケースが増えており、その際、耐震・制振補強を合わせて実施することが多くなっています。しかし、伝統的な木造建築物は、欄間などのように構造上開放された壁や空間が多く、補強部材を取り付けにくくなっています。さらに文化財的要素が高いため、外観上の問題も考慮して耐震・制振補強しなければなりません。
一方で、最近視覚的に美しいガラス面を多用した美術館やブティックなどが多く建築されていますが、視覚だけでなく耐震性といった構造的な強度も必要で、外観上の意匠性と構造上の耐震性という課題の両立が求められています。

ガラス制振壁は、ガラスの周囲に粘弾性体を貼り付け、建物に組み込むことにより、地震や強風時に建物の変形を吸収するダンパーとして機能するものです。振動台実験では、躯体の水平変形を約1/2~1/5に低減できることを確認しました。
従来、構造体として使用されなかったガラスを敢えて建物補強に使用するというまったく新しい発想の耐震・制振壁で、外観の意匠性を確保したまま建物の耐震性を高められます。特に日本建築特有の開放性、外観の維持を求められる伝統木造建築物や、国内でも急速に増えてきた外壁にガラス面を多用した美術館、ブティックなど斬新なデザインの建築物の耐震・制振補強に最適です。
今回のコンペでは、兵庫県宍粟郡安富町の古井家住宅をガラス制振壁で耐震改修するという提案を行いました。間仕切り上部の欄間部分や耐力の低い板壁部分をガラス制振壁とすることで、空間の一体性や開放性を確保しながら耐震性を向上させています。

大林組は今後も、伝統木造建築物や、美術館、ブティックなどの耐震・制振補強に対して、意匠性と耐震性に優れた「ガラス制振壁」を積極的に提案していきます。

【コンペ内容】
・主催:兵庫県、(財)兵庫県住宅建築総合センター
・コンペ名:ひょうご住宅耐震改修技術コンペ
・募集内容:
 工法部門-既存木造住宅の耐震性能向上を目的とした耐震補強工法で、建物全体の補強効果が評価できる提案

 計画部門-兵庫県内の木造軸組構法の民家を対象に、地域に根ざした意匠、生活様式などを活かした耐震改修の提案

【今回の提案内容】
・提案名 :古井家住宅のガラス制振壁による耐震改修
・所 在 :兵庫県宍粟郡安富町
・構 造 :木造平屋建て、約104m²
・補強内容:ガラス制振壁7ヵ所、約15m²

ガラス制振壁の構造

ガラス制振壁による耐震補強案(パース)

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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