技術研究所に国内最高レベルの「火災工学実験棟」を新設

防耐火分野での設計力を強化し、火災安全技術に関する開発力を強化します

プレスリリース

大林組は、技術研究所設立40年を機に、同研究所の敷地内に、国内最高レベルの防耐火実験施設として「火災工学実験棟」を新設します。4月1日に着工し、本年11月に完成する予定です。

平成12年6月の建築基準法改正により、防耐火分野でも一定の性能を保っていることを要件にした「性能設計」に移行しつつあります。今後は、自社の耐火試験データに基づいた耐火設計などができるため、設計自由度の大幅な拡大が期待できます。しかし、そのためには、防耐火に関するデータの蓄積を進めていくことが必要となります。
例えば、超高層マンションなどで用いる高強度の鉄筋コンクリート部材は、火災時に表面のコンクリートが瞬間的に剥がれ落ちる「爆裂」現象を生じる可能性があるため、さまざまな耐火実験を行って爆裂防止技術を確立する必要があります。また、建築物に用いる新材料を開発した場合、これを実建物に適用するためには火災安全性の十分な検証が必要となります。土木の分野でも、トンネルで発生する車両火災を想定し、急速過熱を行って構造体の火災安全性を検証することなどが必要となります。
近年の防耐火実験は、構造体に火災熱と荷重を同時に作用させる「載荷加熱試験」が一般的となっており、大型の試験体を設置して載荷加熱試験ができる大容量の耐火炉が求められています。しかし、このような載荷加熱能力を有する実験装置は国内でも限られており、実験を行うにも1年以上も順番を待つようなケースもあるほどです。
当社では、本研究棟を建設することで、技術開発のスピードを速め、防耐火分野での設計力を強化し、火災安全技術に関する当社独自の技術を開発していきます。

このたび新設する火災工学実験棟の概要は以下の通りです。

・実験棟 :地上2階、延床面積989m²
・工 期 :平成17年4月1日~平成17年11月30日
・実験施設:
(1)汎用耐火炉(W3.2m×L5m×H4m)
 柱、梁、床部材を対象に、20MNの圧縮載荷を行いながら耐火試験が可能。
(2)壁用耐火炉(W1.5m×H1.5m)
 壁部材や耐火スクリーンなどの防火設備を対象にした耐火試験装置。
(3)火災実験装置(W4m×L4m)
 実大家具や内装仕上げ等の燃焼試験装置。

大林組は今後、この国内最大規模の防耐火実験装置を用いて、新しい建築材料や設計法に関する耐火実験を行い、機能性と安全性を兼ね備えた建築物の構築に注力していきます。

火災工学実験棟内観パース
(中央が汎用耐火炉)

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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