大林組では、地震で破損した建物の復旧・補強技術の効果を確認するため、技術研究所(東京都清瀬市)において、振動台による公開実験を行いました。 実験は、すでに三次元振動台で破損させた建物を、当社の耐震改修技術(3Q-Wall工法、ブレーキダンパーなど)で復旧・補強し、この復旧建物に阪神淡路大震災クラスの揺れを加えて復旧技術の性能を確かめるという、きわめて珍しいものです。 最近、新潟県、福岡県など、これまで地震の可能性が低いと考えられてきた地域で大地震が発生しています。今後も東海・東南海など各地で地震発生の可能性が指摘されています。本来なら地震に備え、建物に耐震改修工事を施しておくことが望ましいのですが、被害が起きた後の対策も考えておく必要があります。阪神淡路大震災では、被害建物を補修・補強してそのまま継続使用する事例が多くありました。 しかし、被害建物の復旧技術はいまだ確立されていないことから、大地震の発生後に被災した建物を補修して、安全に継続使用できるよう、実験により十分に検証しておく必要がありました。特にこれまでは、建物模型を使って実際の状況に即して振動台実験を実施した例はありませんでした。 【実験の経緯】今回の実験では、ブロックを積み上げて耐震壁を構築する「3Q-Wall工法」や、車のブレーキ材を活用した制振技術「ブレーキダンパー」などを、建物模型(1/4モデル、地上3.6m、重量32トン)の復旧に適用し、三次元振動台によって復旧技術の耐震性能を実証しました。 破損した壁は撤去し、「3Q-Wall工法」でプレキャストコンクリートブロックを積み上げて新しい壁を施工しました。また、同じく「3Q-Wall工法」でFRP(繊維強化プラスチック)ブロックを窓部分に積み上げて、採光を確保したまま耐力を向上させました。さらに、「ブレーキダンパー」を建物外面に取り付けて建物の揺れの低減を図り、破損した柱は炭素繊維巻き付けの「CRS-CL工法」で補強して建物の倒壊防止に万全を期すこととしました。実験では、阪神淡路大震災と同レベルの揺れを加えました。被災前と同等以上の耐震性能を確認し、「3Q-Wall工法」や「ブレーキダンパー」などが耐震性能の復旧に有効であることを実証しました。 【実験の概要】 建物模型:鉄筋コンクリート4階建ての1/4モデル 高さ3.6m、重量32トン 補修方法:(1)3Q-Wall工法 ・プレキャストコンクリートブロックによる 耐震壁;3箇所 ・繊維強化プラスチックブロックによる 耐震壁;2箇所 (2)ブレーキダンパー;2箇所 (3)CRS-CL工法;10箇所 実験方法: 三次元振動台により、阪神淡路大震災と 同レベルの最大850galの揺れを16秒間加える。 なお、今回補修に適用した技術の特長は以下の通りです。
大林組は今後も、安心・安全な建物を提供するため、耐震改修・震災復旧技術の一つとして、施工性と耐震性に優れた「3Q-Wall」と「ブレーキダンパー」を積極的に提案していきます。 以上
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大林組の耐震・制震技術が被災した建物の安全な継続使用を可能にします
建物復旧技術の有効性を振動台実験で初めて実証
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プレスリリース