大林組は、石川島建材工業(株)(本社:東京都千代田区)と共同で、地下の道路トンネルに用いるシールド工法において、トンネル本体を構成するセグメントの耐火性を確保しながら、コストダウンと工期短縮を実現する「ファイアガードセグメント」を開発しました。「ファイアガードセグメント」は、セグメントの内面側に厚さ50mmの爆裂抑制層を設けています。この爆裂抑制層によって、万一火災による被害を受けてもセグメントの本体部分を許容温度以下に抑制できるので、構造性能を損なうことはありません。また、火災によって損傷した表面は、すでに開発、実用化している特殊モルタルの吹付け工法によって耐火補修することができます。 従来、シールドトンネル工事では、セグメントを組み立てた後、その内側をコンクリートで被覆する「二次覆工」を行っていました。道路トンネルの場合、トンネル火災に備えて耐火性を確保する必要がありますが、これまでは、この二次覆工によって耐火性能を向上させていました。しかし、近年では、一次覆工の止水性能が向上したことや、コスト縮減のニーズの高まりにより、二次覆工を省略するタイプのシールドトンネルが増加してきており、耐火性を確保するため、セグメントの内側に耐火板を設置したり、耐火材を吹付けたりする工法が開発されています。 しかし、これらの工法では、セグメントを組み立てた後に耐火板を設置するなどの工程が必要だったため、どうしても工期が長くなってしまいます。さらに、トンネルの供用後はセグメント本体が被覆されてしまうため、地震などが発生した後のひび割れの発生や漏水など、構造物の健全性の目視確認ができませんでした。 今回開発した「ファイアガードセグメント」は、通常のセグメントの内面側に、あらかじめ厚さ50mmの爆裂抑制層を設けたものです。爆裂抑制層には、径13mmの鉄筋を格子状に配しており、鋼繊維を混入したコンクリートを型枠に流し込んでセグメントの本体部分と一体で成形します。シールドトンネル工事にこの特殊なセグメントを用いることで、従来の耐火被覆の工程を省くことができ、工期短縮やコスト縮減を実現します。 このセグメントは、火災が発生した際の最大爆裂深さが50mm以下になることや、セグメント本体部分の鉄筋位置での最高温度を、鉄筋が損傷を受けない250度以下に抑えることなどをRABT基準による加熱試験により確認しました。 さらに、火災により部分的に損傷した爆裂抑制層に対しては、すでに開発、実用化している「ジョッツクリート工法(※1)」を用いて、耐火性能を有する断面修復を行うことができます。火災により損傷した箇所をはつり、表面を粗にした状態で特殊な耐火モルタルを吹付けて断面修復します。この補修方法の耐火性能についても、すでに加熱試験により十分な性能があることを確認しています。 「ファイアガードセグメント」の特長は次の通りです。
以上
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トンネルの耐火被覆工程を省略し、コストダウンを実現する耐火層一体型の「ファイアガードセグメント」を開発
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