大林組は、道路トンネルなどのシールドトンネルにおいて、分岐・合流区間をトンネル内から非開削で効率的に施工することができる「ツインアーチジャンクション工法」を開発しました。 平行して設置した2本のトンネルの上部と下部を、アーチ型をした複数の厚肉鋼管で接続することで、安定した横卵型構造を実現し、トンネル双方を無支柱で連結することができます。従来、分岐・合流区間を設けるのに主流であった開削工法やNATM工法(※1)よりも、コスト、工期ともに大幅な削減が期待でき、かつ自由に分岐・合流場所を選定することができます。 一般に、自動車専用道路トンネルの分岐部や合流部には、柱のない200m程度の長い織り込み区間が必要です。従来、このような場所は、地表からの開削工法により函型の構造物を構築するか、あるいは、複数のシールドトンネルを並行して近接施工した後、地表から地盤改良を行ったうえで、トンネル同士をNATM工法などで連結させて施工していました。しかし、前者では、分岐・合流部の施工箇所が地表からの開削工事ができる場所に限定され、後者では、地下水対策や地盤変状対策などの大規模な補助工法が必要になるため、工費が割高となっていました。 近年、都市部においては用地確保の問題から、地上からの開削工事が難しくなっており、また大深度地下でのトンネル工事も増える傾向にあります。このような背景から、大林組はこれまでも、非開削でシールドトンネルを連結することができる「地中アーチ工法(※2)」や「ジャンクションビーム工法(※3)」を開発し、積極的に提案してきました。 今回、大林組は、トンネルの外に出ることなく地中工事だけで、しかもセグメント内側の空間を狭めることなくトンネルを連結する「ツインアーチジャンクション工法」を開発しました。本工法は、地中工事だけでコンパクトに施工できるので、従来の施工法に比べ4割程度コストと工期を縮減することができます。 本工法では、連結部分の上部と下部に60cm間隔でアーチ型の仮設パイプルーフ(鋼管φ350mm)を設置し、その仮設パイプルーフの内側に本体構造物となる厚肉鋼管を挿入して端部をセグメントと接続します。この構造によって、連結部分にかかる荷重をトンネルの外側の壁に受け流すことができ、無支柱の連結を実現します。また、連結作業は仮設パイプルーフで囲まれた空間で行うので、安全に施工することができます。 「ツインアーチジャンクション工法」の特長は次のとおりです。
この「ツインアーチジャンクション工法」は、鉄道トンネルの渡り線部分などの構築にも適用することができる工法です。今後大林組は、本工法や既に開発している上記の工法を、トンネルの分岐・合流部分の効率的な施工法として積極的に提案していきます。 以上
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シールドトンネルの分岐・合流部を非開削で連結させる新工法を開発
連結にかかるコストと工期を4割低減する「ツインアーチジャンクション工法」
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プレスリリース