技術研究所に国内最高レベルの「火災工学実験棟」完成

防耐火分野での設計力の強化と火災安全性の向上を目指します

プレスリリース

大林組が、技術研究所設立40年を機に同研究所の敷地内で建設を進めていた国内最高レベルの「火災工学実験棟」が、このたび完成いたしました。

平成12年6月に施行された改正建築基準法により、防耐火分野でも所定の要求性能を満足することを要件にした「性能設計」に移行しつつあります。今後は、性能設計に対応するため、これまで以上に防耐火に関するデータの蓄積が必要になります。
また近年は、試験体に実際の建物部材が受ける荷重を加えた上で加熱実験を行う「載荷加熱実験」が一般的となっており、特に大型の試験体を実験できる大容量の耐火炉が求められています。しかし国内では、載荷加熱実験が行える大規模実験施設は少なく、外部の施設ではすぐに実験ができない状況となっています。
そのため当社は、防耐火分野での技術開発のスピードを速め、その設計力を強化し、独自の火災安全技術を確立するため、本実験棟を建設いたしました。

今後、本実験棟で様々な火災実験を行い、新構工法の技術開発を推進するとともに、詳細な耐火試験データを蓄積して耐火性能設計に役立てていきます。
例えば、建物の新構工法技術開発においては、超高強度コンクリートを用いた鉄筋コンクリート部材の爆裂防止技術や高耐火性を有する防火区画工法、耐火性を有する木質部材の開発などを行う予定です。設計面では、たくさんのデータを蓄積することによって燃え広がり方に関する精緻な予測に役立てるとともに、構造部材の高温時の耐力を解析した結果を実証することで、より合理性のある耐火設計が可能となります。
また土木の分野でも、大深度地下空間やトンネルなどの閉鎖空間における火災安全性の検証や、シールドトンネルの高耐火性セグメントの開発などに活用していく予定です。

大林組は、この国内最大規模で高性能な火災安全工学用の実験施設を用いて、新しい建設材料や構造に関する実験を行い、機能性と安全性を兼ね備えた建造物の構築に注力していきます。

【実験施設の概要と特長】
 ・実験棟 :地上2階、延床面積989m²
 ・所 在 :東京都清瀬市
 ・工 期 :平成17年4月1日~平成17年11月30日
 ・実験施設:
(1)汎用耐火炉(W3m×L5m×H4m)
※柱、梁、床部材を対象に、20MNの圧縮載荷を行いながら耐火試験が可能。
 【特長】
 ・日本最大級の汎用耐火炉
 ・世界各国の急速加熱規格に対応
 ・20MN(2000tonf)の大容量加力装置を装備
 ・二軸からの載荷(軸力+水平力)が可能
 ・耐熱カメラにより実験時の炉内観察が可能
(2)壁用耐火炉(W1.5m×H1.5m)
※壁部材や耐火スクリーンなどの防火設備を対象にした耐火試験装置。
 【特長】
 ・最大燃焼量:1160kW
 ・ISO標準加熱の他、世界各国の急速加熱規格に対応可能
(3)火災実験装置(W4m×L4m)
※実大家具や内装仕上げ等の燃焼試験装置。
 ・測定可能発熱速度:最大3MW
 ・家具や内装仕上げ等の燃焼時の燃焼ガスを捕集し、酸素濃度、燃焼ガス流量に基づき発熱速度を測定
(4)その他施設
※付属建屋には、コーンカロリー計試験機やISO基材
 加熱炉も設置。火災安全工学の総合的な実験施設を充実させることにより、研究開発の高度化とスピードアップをはかる。


以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
お問い合わせフォーム