平成17年度の研究助成等は26名の研究者などに総額2,424万円
財団法人大林都市研究振興財団（理事長 : 大林剛郎〔大林組会長〕、所在地 : 東京都千代田区）は、第4回大林賞の受賞者と平成17年度（募集期間：平成17年10月3日～平成17年11月4日）の助成対象者を決定しました。
本財団は、わが国の学術研究の振興を図ることを目的に、平成10年9月に大林組元名誉会長 大林芳郎によって設立された公益法人で、都市に関する学術研究や、研究者の招聘・派遣、国際交流および国際会議等に対する助成事業を行っています。
本財団では、平成17年度の各助成事業の選定にあたり大学その他研究機関から多数の応募あるいは推薦を受け、選考委員会（委員長 : 早稲田大学教授 伊藤滋氏）の審査を経て、第4回大林賞（賞金500万円）並びに26名の研究者と、2件の国際会議に対する助成（助成金総額2,424万円）を決定しました。
第4回大林賞は、ドイツの都市計画の専門家 カール・ガンザー氏に決定しました。本年9月に同氏に対する大林賞授与式を執り行い、記念シンポジウムを行う予定です。
決定した大林賞及び研究助成等は次のとおりです。
- 大林賞
都市が抱える諸問題の解決に多大な貢献があった研究者をはじめ、都市のあり方や将来像に画期的な指標を与えた研究者を表彰するもので、2年に一度行っています。
第4回大林賞に決定したカール・ガンザー氏は、産業の衰退とともに失業と環境悪化が問題となっていたドイツ・エムシャー川流域を、IBA事業（※1）により10年で再生し、地域活性化の成功に多大な功績を残されています。同地域を環境的・経済的に優れた都市に再生することを目的とした「IBAエムシャーパーク・プロジェクト」が1989年より実施されましたが、同氏は、このプロジェクトの推進母体「IBAエムシャーパーク公社」の社長として主導的な役割を担われました。地域住民や自治体等が立案・実施したプロジェクトに対し、資金面や運営面で様々な助言や調整を行ったり、再開発全般のコンサルタント業務などを行い、800kuに及ぶ広範囲な地域を住民とともに見事に再生し、活性化させました。その結果、この地域は緑豊かな公園を有する美しい都市に生まれ変わり、工業が盛んだった当時の機械設備や建屋を再利用した博物館を整備するなど地域の固有性を残しながら社会的・文化的に発展した都市の再生を実現しています。
※1 IBA ドイツ語でInternationale Bau-ausstellung の略。日本では「国際建築展」と訳される。
広く一般からアイデアを公募し住民による投票で選定を行うなど、新しいアイデアを外部から積極的に集める点や、選ばれた計画が実行されるまでのプロセスが全て公開される点を特徴とする。全てのプロセスが公開されており、あたかも「展覧会や展示会のような」手法である
- 学術研究に関する助成
(1) 一般研究者への助成
都市計画・都市景観、都市環境工学、都市交通システム・エネルギー計画、建築技術、都市建築史・都市と文化、都市政策・都市経済などの分野を対象とした一般研究者への助成については、44大学等の研究者から81件の応募があり、11名への助成を決定。（計 1,650万円）
(2) 若手研究者への助成
大学院博士課程に在籍し、都市に関するテーマを専攻する若手研究者の研究への助成については、5大学の大学院研究科長から6名の推薦があり、6名への助成を決定。（計 180万円）
- 在外実務研修助成
建築学を専攻する、修士課程又は博士課程に在籍する大学院生に対し、海外の設計事務所での実務経験の機会を与え、より広い視野から建築を考える建築家教育の助成については、1名の助成を決定。（計 30万円）
- 国際交流に関する助成
都市に関する学術的な国際会議や学会、または共同研究のために来日する外国人研者の招聘助成及び同様の目的で渡航するわが国研究者の派遣助成については、16大学から18件の応募があり、8名への助成を決定。（計 364万円）
- 国際会議に対する助成
わが国で開催される国際会議への助成に対しては6件の申請があり、2件の助成を決定。（計 200万円）
全助成対象者の氏名、所属、研究課題等は、別表のとおりです。
本財団では、今後も引き続き、都市に関する学術研究の助成活動を積極的に行う予定です。
また、平成18年度の各助成事業への募集は、10月2日から11月2日の間に大学その他研究機関に対し行う予定です。
以上
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