廃棄物最終処分場の漏水を検知し補修する新システムを初適用

廃棄物を掘削せず効率的に補修できます

プレスリリース

大林組、太洋興業(株)(本社:東京都中央区、社長:中村哲雄)、応用地質(株)(本社:東京都千代田区、社長:田矢盛之)は共同で、廃棄物処分場の漏水箇所を電気的に検知する仕組みに、独自の補修システムを組み合わせることで、廃棄物を掘り起こすことなく漏水箇所を効率的に補修できる新しいシステムを開発し、大王町一般廃棄物最終処分場新設土木工事(三重県志摩市)の廃棄物処分場底版部(面積約410m²)に初めて適用しました。

廃棄物処分場の底面には通常、遮水シートが敷設されていますが、この遮水シートが破損した場合に、漏水した位置を電気的に検知する仕組みは、すでに各社で開発され、数多くの廃棄物処分場に採用されています。しかし、これまでは、遮水シートから漏水が検知された場合、その部分の廃棄物を掘り起こしたうえで補修作業を行う必要があり、手間と費用がかかってしまいます。このため、廃棄物を掘り起こすことなく補修ができるようなシステムの開発が求められていました。

今回開発したシステムでは、漏水箇所の検知は、電気的な検知方法によって行います。遮水シート下面に測定電極、上面に電流電極を設置し、電流値の計測によって漏水したブロックを特定します。
本システムによる漏水箇所の補修は、止水材を注入する方法で行います。廃棄物処分場の遮水シートは通常、シートの上面に不織布などのマットを敷いて保護しますが、本システムでは、この保護マットを100~200m²程度の面積に分割し、分割した各ブロックの周囲を遮水シートに接着して袋状の空間を形成します。各ブロックの中には、あらかじめ止水材の充填を助けるための通水材を敷設し、さらに止水材を注入するための注入ホースを各ブロックに接続しておきます。漏水を検知した際には、各ブロックに接続した注入ホースから止水材を注入することにより、廃棄物を掘り起こすことなく漏水箇所を補修することができます。
止水材には、比較的電気抵抗値が大きく、流動性に優れた特殊アスファルト乳剤系止水材を使用します。この止水材は速やかに遮水シートと保護マットの間に充填され、ブロック内全体に不透水層を形成するとともに、シートの破損を補修します。この不透水層が完全に漏水を塞ぐと、電気の流れが遮断され、検知システムによって破損箇所の補修が完了したことを確認できます。

本システムの特長は以下のとおりです。
  1. 通常の廃棄物処分場に使用されている保護マット(保護材)を止水の仕組みに利用しているため、遮水シートが二重の場合はもちろん、一重の処分場にもこのシステムを採用することができます。
  2. 注入ホースから止水材を注入し漏水箇所を補修するため、廃棄物を掘り起こすことなく補修でき、補修費も低減できます。
  3. 電気的に漏水を検知するシステムにより、漏水が完全に止まったかどうかを確認することができます。
今後、大林組と太洋興業、応用地質の3社はそれぞれ、様々なタイプの廃棄物処分場に対応できるこの検知・補修システムを、自治体やコンサルタントに対して積極的に提案していきます。

【本システムを適用した最終処分場新設工事の概要】
工事名  :大王町一般廃棄物最終処分場整備適正閉鎖及び新設土木工事
工事場所 :三重県志摩市大王町波切志坂2323-2
工事期間 :平成16年8月4日~平成18年3月20日
発注者  :大王町
処分場面積:5,580m²
埋立容量 :33,100m³


本システム概要図

本システム概要図

以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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