直径15m 世界最大のシールドマシンでスペインの都心部を高速掘削

大林組と三菱重工がノウハウを駆使して技術協力を行っています

プレスリリース

大林組は、三菱重工業(株)の関連会社であるMHI-デュロ・フェルゲラ社(※1)(MHI-duro felguera/本社:スペイン マドリッド、CEO:西岳 茂)などと共に、スペインの首都マドリッドの都心に環状道路を建設するプロジェクトにおいて、世界最大のシールドマシンを用いて施工するトンネル工事に技術協力を行っています。

※1 MHI-デュロ・フェルゲラ社:
三菱重工業と現地の重工業メーカーのデュロ・フェルゲラ社との合弁会社


マドリッド市内を走る延長約35kmの環状道路「M30」は、交通量の増加に伴って、渋滞の慢性化や排気ガスによる周辺環境の悪化、市街地の分断などが問題となっています。現在これらの課題を解決するために、ジャンクションの再整備、道路の地下化や地上部の拡幅、バイパス(迂回路)の増設などが各所で実施されおり、2007年春の完成を目指して工事が進んでいます。

今回技術協力を行っている区間は、「M30」の中でも慢性的な渋滞が問題となっている南ジャンクションを迂回するトンネルを建設する工区で、スペインの共同企業体(ドラガドス〔DRAGADOS/本社:マドリッド〕とFCC〔FOMENTO DE CONSTRUCCIONES Y CONTRATAS/本社:マドリッド〕のジョイントベンチャー)が施工しています。この工区は、延長4qにわたる大断面のトンネル掘削となるため、高いシールド技術とトンネル掘削のノウハウを有する大林組と三菱重工業が技術協力を行うこととなりました。直径15mにのぼる超大型の泥土圧式シールドマシンは、三菱重工業とデュロ・フェルゲラ社およびMHI-デュロ・フェルゲラ社が設計・製作し、大林組が掘削に係る技術支援・指導を担当しています。

シールドマシンは2005年11月に現場に搬入され、3月末に掘削を開始しています。掘削開始後すぐに、数多くの貴重な植物を保有する全面ガラス張りの植物園(パラシオ・デ・クリスタル)の直下を掘削することになりますが、この付近は地下水の豊富な砂層であるため、沈下等が起こらないよう細心の注意を払いながら慎重に掘削を進める必要がありました。掘削管理に当たっては、大林組とその協力会社の吉田直土木(株)から職員を派遣し、発進時の施工計画、掘削時の土圧管理、排土量管理、掘進管理方法などを技術指導しました。5月初旬に植物園の地下を無事に通過し、6月末現在、640m(セグメント数で320リング)を掘削しています。今後、住宅が密集した都心部の直下を通過し、全長約4qのトンネルを施工していきます。

また、この工事は工期が極めて短く、月進360mの早さで掘削することが要求されています。これは日本国内で一般的に行われているシールドマシンの掘削スピードの2倍近い速さになります。直径15mクラスの大きなシールドマシンを用いた高速掘削は、国内はもちろん世界的にも他に例はありません。
今後、日本でも都心部の地下工事では、大口径の泥土圧式シールドを用いた高速掘削が求められていくと思われます。大林組と三菱重工はそれぞれ、これまでの実績に加えて今回の工事で培った技術を日本国内のシールド工事にも積極的に提案していきます。

【工事概要】
工事名 :マドリッド環状道路M30改造工事 南工区
     バイパス南トンネル
施工場所:スペイン マドリッド
事業主 :Madrid Calle 30
     (マドリッド市と民間の共同出資の事業体)
施工者 :Dragados y FCC
     (ドラガドス社とFCC社の共同企業体)
工 期 :2004年9月から30ヵ月
工事概要:掘削外径φ15.01m、トンネル延長4000m、
     最大勾配4%、土被り15~60m


シールドマシン全景

施工中の抗道

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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