路面温度を低減しヒートアイランドを緩和する「打ち水」給水システムを大規模採用

芝生と同システムを組み合わせた緑の車路が完成しました

プレスリリース

大林組は、路面温度を低減する独自の給水システム「打ち水ペーブ」や「打ち水ロード」を開発し、すでに実用化しています(※)。このシステムは、路面下からの自動給水によって継続的かつ経済的に地表面を湿潤状態に保ち、水の蒸発冷却効果によって表面温度を低減するものです。自動給水するので、長期間雨が降らなくてもその効果は低下しません。
これらの打ち水給水システムは、近年の環境意識の高まりを受け徐々に採用件数が増加しています。このたび、都内に完成した集合住宅内の車路では、4,100m²の範囲に「打ち水ペーブ」が採用されました。

(※)道路に水をまく昔ながらの打ち水と同じように、気化熱による冷却効果が得られる当社独自の技術。地下から自動給水することで常に地表面を湿潤状態に保つことができる。打ち水給水システムには、車道などアスファルト舗装路用の「打ち水ロード」、歩道のようなブロック舗装路用の「打ち水ペーブ」などがある。


システム概念図

システム概念図


近年、都市部におけるヒートアイランド現象が問題となっています。都市部の2割程度の面積はアスファルト舗装に覆われ、しかも夏季日中にはその路面温度が60℃以上に達することから、路面温度を低下させることがヒートアイランド現象緩和に大きく役立つこととなります。

このたび、当社が設計・施工した目黒区の集合住宅では、敷地内の車路(延べ4,100m²)に「打ち水ペーブ」を適用しました。これまでの「打ち水ペーブ」は、給水設備を敷設した後、路面全体をブロックなどで覆うタイプでしたが、今回採用した「打ち水ペーブ」は、芝生とインターロッキング ブロックを組み合わせて路面に敷き並べた新型のタイプです(添付写真)。地下から自動給水することで、芝生の生育を助けるとともに、供給された水の蒸発冷却効果によって、継続的に路面温度の低減を図ることができます。敷地の大部分を占める車路にこの特殊な舗装を用いることで、敷地の相当部分が緑化され、芝生による緑化と打ち水による冷却効果によって住棟間の暑熱環境が改善されています。
また、一般のアスファルト舗装は雨水を地下に通さない遮蔽性の高いタイプのものがほとんどですが、雨水を透水することができれば、地下水位の適正化につながることや、大雨の際に一時貯留の効果が得られることから、最近、透水性の路面にも注目が集まっています。今回採用された「打ち水ペーブ」は、路床部分を開粒アスファルト仕様とすることで、地下に雨水を浸透させる機能も有しており、この点でも環境に配慮した舗装となっています。

「打ち水ペーブ」の仕組みは、次のとおりです。
  1. 一定間隔で穴を開けた給水管を地盤の内部に配し、この給水管から路面下に敷いた導水シートに給水します。
  2. 給水は、コントロールボックスで一定量の水が供給されるように制御します。
  3. 供給した水は、導水シートをつたって地盤内全体にしみわたります。地表面から水が蒸発することで表面温度を低減します。
大林組の打ち水給水システムの特長は、次のとおりです。
  1. 蒸発冷却効果で路面温度を大幅に低減します

    「打ち水ペーブ」は、地下から自動給水し、水の蒸発冷却効果によって路面温度を低減します。通常の歩道などのレンガ舗装に比べて約10℃、一般のアスファルト舗装に比べ最大25℃低減できます。


  2. 経済的に冷却効果を発揮できます

    給水制御にタイマーや雨水センサーを用いることで、必要最小限の給水を自動的に行うことができます。また、供給する水には地下貯留槽に貯えた雨水のほか、地下水や下水処理水、工業用水、上水などが利用できます。


  3. 長期間、雨が降らなくても継続的に効果を発揮します

    最近、導入が進んでいる保水性舗装(雨水をアスファルト内に保水し、その水の蒸発冷却効果で路面温度を低減する技術)は、長期間雨が降らないと効果がなくなってしまいます。当社の打ち水給水システムは自動給水によって常に路面を湿潤状態に保つため、継続的に効果を発揮します。

大林グループは、再開発プロジェクトやPFI事業など、技術提案方式の事業に対して「打ち水ペーブ」を初めとする打ち水給水システムを提案しています。打ち水給水システムの採用実績は、施工予定のものを含めると30,000m²を超える規模となっています。今後、車歩道や駐車場、広場、屋上等へ積極的に提案し、数年後には大林グループ全体で、年間2~3万m²の受注を目指します。


都内の集合住宅に設置した新型の「打ち水ペーブ」

都内の集合住宅に設置した新型の「打ち水ペーブ」


以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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