河川堤防の補強と緑化を早く経済的に行うことができるリバーベント工法を開発

プレスリリース


大林組、旭化成ジオテック(株)(東京都墨田区、社長:佐久間信彰)、カーボフォル・ジャパン(株)(本社:東京都港区、社長:高津志郎)の3社は共同で、河川堤防に特殊マットを敷設することで洪水による河川堤防の決壊を防止するとともに、堤防のり面の緑化を同時に行うことができる「リバーベント工法」を開発しました。施工が容易であるため工期を大幅に短縮できるうえ、万一、遮水層が漏水しても自己修復機能があるためメンテナンスが容易な工法です。

近年、集中豪雨によって河川堤防が決壊する事例が増えてきています。平成16年には過去最多となる10個の台風が日本列島に上陸したため、各地で河川の堤防が決壊し甚大な被害が発生しました。
洪水時に河川堤防が決壊する原因を大別すると、(1)河川水位の上昇などにより堤体に水がしみこみ、堤防の強度が低下して決壊(浸透破壊)する、(2)侵食や越水により堤防の土砂が削り取られ堤体が決壊する(侵食破壊)、という2つの典型的な崩壊パターンがあります。
従来は、この決壊への対策として、水の浸透を防止するため堤体に遮水シートを敷設し、その上に侵食防止のための護岸ブロックを設置したうえで、さらにその上に覆土して緑化するという対策がとられていました。しかしこの工法では施工に手間がかかるため工期が長く、コストが割高となっていました。

今回開発したリバーベント工法は、ベントナイト混合土を充填した布製の袋状マットを河川堤防のり面に敷設し、その上面に緑化を施す工法です。袋状マットを敷設するだけで浸透破壊や侵食などに対応できるので、従来の工法に比べて工期を半分以下に短縮することが可能で、直接工事費も5~10%低減することができます。
袋状マットと緑化層が一体化しているため、河川水位が増水した際の芝の流出を大幅に抑えることができます。また、遮水層が漏水した場合、従来は大規模な補修・復旧工事が必要でしたが、同工法では袋状マット内のベントナイトが水を吸って膨張し損傷部を塞ぐため、自動的に修復し防水性能を維持します。

リバーベント工法の主な特長は、次のとおりです。
  1. 施工性が大幅に向上

    ベントナイト混合土を充填した布製マットを敷設するだけで遮水性、耐侵食性が十分に保たれるので、施工能率が大幅に改善され、工期を大幅に低減できます。


  2. 緑化のメンテナンスが容易

    布製マットと緑化層が一体化しているため、河川が増水した際の芝の流出を大幅に抑えることができます。万一、緑化層を修復する必要が出た場合でも、種子を混合した土(植生基材)を吹き付けることで簡単に植生を復元できます。


  3. 遮水層が損傷しても自己修復が可能

    この工法は、水路実験の結果、5m/秒までの流速に耐えうることが立証されました。また、充填材料としてベントナイト混合土を使用しているため、堤体の変形や乾燥収縮などにより万一クラックが発生しても、ベントナイトは水分を含むことで膨潤するため、自己修復することができます。すなわちメンテナンスフリーで、長期間にわたり信頼性の高い遮水層が維持できます。

今後、大林組、旭化成ジオテック(株)、カーボフォル・ジャパン(株)の3社は、耐流速性能、侵食・浸透破壊防止に優れたこのリバーベント工法を積極的に提案していきます。
遮水構造の模式図

遮水構造の模式図



以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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