GPSおよび方位計を利用したクレーン衝突防止システムを開発

高い安全性を確保したクレーン作業が可能に

プレスリリース

大林組と西尾レントオール(株)(本社:大阪府大阪市中央区、社長:西尾公志)は、クレーン同士の衝突やクレーンと既存建物との接触を回避するために、全地球測位システム(GPS:global positioning system)と方位計を利用したクレーン衝突防止システムを開発しました。本システムを採用することで、高い安全性が確保できるだけでなく、従来の安全装置の利用に比べ、広い範囲で効率的にクレーンの作業を行うことが可能になります。

近年、建設現場において生産性を向上させるため、機動性の高いクレーンを複数台使用するケースが多くなっています。このような場合には、クレーン同士の衝突の危険や、クレーンと既存建物との衝突などの危険が考えられます。従来、クレーンによる衝突災害を防止するためには、クレーンに取り付けられた各種センサーでブームの旋回や起伏などの数値を測定し、その数値をCAD図へ入力することで、安全性が確保できる範囲を算出していました。しかしながらこの場合は、センサーの精度が低いことから、クレーン台数が多くなればなるほど作業範囲が狭くなっていました。また、機動性のあるクレーンの場合は、移動の都度、位置データを再入力しなければならず、作業効率の向上が求められていました。

本システムは、複数のクレーンの位置と構造物のデータを予めクレーンに設置されたパソコンに入力しておけば、GPSアンテナとブーム傾斜計を取り付けるだけで、クレーン相互間の無線LANにより、クレーンのブームなどの位置情報を正確に知ることができ、衝突防止が可能になるものです。本システムの制御精度は±1mで、作業範囲が従来よりも広く確保できるので、クレーンの作業性とクレーンオペレーターの操作性の改善を図ることができます。また、GPS衛星からの電波受信状態が悪くなった場合でも、方位計(ジャイロ)補正機能により継続してブームやクレーンの位置が把握できるため、安定した位置測定が可能なシステムとなっています。
本システムはタワークレーンなどの定置式クレーンだけでなく、クローラークレーンなどの移動式クレーンにおいても使用が可能となっているため、施工範囲が広い建設現場でも適用可能です。
大林組では、すでに幾つかの建設現場で本システムを採用しており、その安全性や効率性は確認されています。

このたび開発した「GPS方位計式クレーン衝突防止システム」の特長は以下のとおりです。

  1. 精度が高いGPSシステムを採用
    精度が高いGPSシステムを採用しているため、従来のクレーン衝突を防ぐ安全装置を使用するよりも、広い範囲での作業が可能となりました。また、方位計付GPSシステムを使用しているため、GPS信号が微弱な場合でも高精度(誤差±1m)な制御が可能です。

  2. 取り付けが簡単な無線LANシステムによるネットワーク制御が可能
    複数台数のクレーンや構造物の位置情報を無線LANネットワークにて把握することにより、クレーンオペレーターの作業の簡素化や作業効率の向上が図れます。また、施工範囲が広い建設現場でも適用が可能です。

  3. クレーン台数は何台でも可能
    定置式クレーン、移動式クレーンなど種類の違うクレーンが、それぞれ何台であっても対応できます。
大林組は、今後、クレーン作業が必要な建設現場に高い安全性と作業の効率性を確保するため、このGPS方位計式クレーン衝突防止システムを積極的に採用していきます。

システム概要

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以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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