高い耐震性能と大きな柱や梁のない広い居住空間を創出

連結制震構造デュアル・フレーム・システム(Dual Frame System)を初適用

プレスリリース

大林組は、超高層RC造集合住宅向けに、高い耐震性能と大きな柱や梁のない広い居住空間を創出する、デュアル・フレーム・システムを開発しました。このシステムを最初に適用した45階建て超高層RC造集合住宅 「(仮称)シティタワー大阪天満」(大阪府大阪市)を10月に着工しました。また、第二弾を来年の春に着工する予定です。

一般的な制震構造は、建物の上の層(床)と下の層の間に制震装置を設置して、地震等で建物が揺れた際に、制震装置を変形させながらエネルギーを吸収するものです。
しかしながら、制震装置の変形量は、建物の上下階の層間変形に依存するため、揺れに対するエネルギー吸収も小さくなります。特に、長細い超高層建物の高層部に設置した制震装置のエネルギー吸収効果は、低効率となっていました。

今回、開発・実用化したデュアル・フレーム・システムは、一つの建物の中に分離・独立した硬さの異なる二つの構造体を構築し、この二つの構造体を制震装置で連結する制震構造システムです。本システムを適用した超高層RC造集合住宅では、建物中央の硬い壁構造の構造体の外周に、柱と梁で構成した柔らかいロの字形の住棟部を配置し、この二つの建物を制震装置で連結させています。地震や強風を受けて建物が揺れる際には、お互いが別々の周期で揺れるので、構造体自体の変形が小さくても、二つの構造体の揺れる周期には大きな差が生じます。この大きな差を二つの構造体を連結している制震装置で効率的にエネルギー吸収を行うことが可能であり、非常に高い耐震・耐風性能を発揮します。

デュアル・フレーム・システム

デュアル・フレーム・システム


このシステムは、一般的な制震構造の建物に比べ、1/3の制震装置の設置数で3倍の制震効果が得られます。また、硬い壁構造物が建物全体の中央部で心棒の役割を果たすので、住棟部を構成する柱や梁にかかる力が低減され、住棟内に大きな柱や梁の無い広い居住空間を確保することが可能となります。

デュアル・フレーム・システムの特長は以下のとおりです。

  • 従来の1/3の制震装置の設置数で3倍の制震効果
    一般的な上下連結タイプの制震構造の建物に比べ、1/3の制震装置の設置数で3倍の制震効果が得られる、画期的な制震構造システムです。
    (地震応答解析による制震装置の吸収エネルギーで比較)

  • 柱や梁の無い広い居住空間を創出
    硬い壁構造物が建物全体の中央部で心棒の機能を果たすので、住棟部を構成する柱や梁にかかる力が低減されるため、住棟内に大きな柱や梁の無い広い居住空間が創出され、平面計画の自由度が向上します。

  • 強風時の揺れを70%程度に軽減
    柔らかい外周住棟部の揺れを硬い中央の壁構造が心棒となり、制震装置を介して強風時の揺れが70%程度に低減されるため、細長い超高層建物に別途必要であった風揺れ対策が不要になります。

  • 立体駐車場の遮音性能が向上
    騒音源となる立体駐車場を、中央部の鉄筋コンクリート造壁で囲まれた内部に配置することにより、住宅への騒音を遮断することが可能となります。また、住棟と立体駐車場との隙間を通気・換気・設備機械置き場に有効利用することも可能となります。
今後とも大林組は、社会に安全・安心をお届けするため、高い制震・免震性能と居住性を兼ね備えた技術を積極的に開発・提案していきます。

一般的な制震構造とデュアル・フレーム・システムの違い

一般的な制震構造とデュアル・フレーム・システムの違い


以上