大林組は、鉄筋コンクリート造梁(以下、RC梁)に梁せいの約1/2までの大きな開口を設けられる開口補強工法「チューブレン」を開発し、実用化しました。 地下にピットを設ける建物では、基礎梁に点検作業員が通るための大きな開口(人通孔)が必要になります。また、オフィスやホテル等の施設では、設備用ダクトや配管を通すため梁に大きな開口を設ける必要があります。しかしながら、「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)」では、既往の研究成果を基にRC梁に設けられる開口の大きさ(以下、開口径)は、梁せいの1/3以下が望ましいとしています。このため、今まで様々な開口補強技術が普及していますが、その殆どが開口径を梁せいの1/3以下に適用を制限しています。 このたび、当社が開発、実用化した「チューブレン」は、開口上下のせん断補強材に鋼板(フラットバー)を用いており、U字に曲げて加工した鋼板を鋼管の開口上下部に溶接し、開口上下の鋼板の中に上下の梁主筋を通す補強工法です。従来、梁せいの1/3以下に制限していたRC梁の開口径を1/2まで拡大することができ、開口が無い梁と同等の耐力と剛性を確保することができます。2007年12月に社団法人日本建築センターのコンクリート構造評定を取得しており、近々、学校や研究施設など4つの案件に採用する予定です。 「チューブレン」の特長は以下のとおりです。 ■躯体ボリューム、根入れ深さや仮設材を低減、大幅なコストダウンが図れる 地下ピットを設ける建物では、基礎梁に径600mmの人通孔を設ける場合、従来は開口径の制約から1,800mm以上の梁せいが必要でしたが、「チューブレン」を適用することによって1,200mm以上の梁せいで済みます。このため、必要以上に基礎梁を大きくする必要がなくなり、鉄筋やコンクリートなどの躯体ボリューム、根入れ深さや仮設材が低減できることから、土工事・基礎工事費の大幅なコストダウンが図れます。 ■十分な居住空間を確保し、躯体コスト及び仕上げコストの削減が図れる 上部階において大きな設備用ダクト等を通す場合、ダクト等が梁せいの1/3以下に収まらない場合には、梁下にダクトを通してその部分の天井を低くする(下がり天井)か、あるいは、階高を高くする等の対応がとられていましたが、「チューブレン」を適用することにより、梁下にダクト等を通す必要がなくなるため、十分な居住空間を確保するとともに、階高を抑えることが可能となり、躯体コスト及び仕上げコストの削減が図れます。 ■設計のフレキシビリティが向上 建築基準法の高さ制限により、例えば、従来では10階建てしかできなかったものが、「チューブレン」の適用によって階高を抑えることができることから、11階建てとすることが可能となるため、設計のフレキシビリティが向上します。 ■RC梁で開口の大きさを鉄骨造梁と同等に確保 現在の鋼材料費の高騰に伴い、今まで鉄骨造で設計していた建物をRC造で設計するケースが増加しています。しかしながら、鉄骨造梁では、梁せいの1/2以下までの開口を設けることが可能であるのに対し、従来のRC造梁では梁せいの1/3以下となるため、鉄骨造梁と同等の開口の大きさを確保することができませんでした。「チューブレン」を適用した場合、従来1/3以下に制限していたRC梁の開口径を1/2まで拡大することができるため、鉄骨造梁と同等の開口の大きさを確保することが可能となります。これにより、今まで鉄骨造としていた建物をRC造にすることで、大幅なコスト削減が図れます。 以上
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RC梁大開口補強工法「チューブレン」を開発、実用化
土工事・基礎工事のコスト削減、居住空間の拡大、設計のフレキシビリティ向上
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プレスリリース