株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、伝統木造建築において採用頻度の高い「落とし込み板壁」について、非常に高い剛性と耐力を有する画期的な板壁工法を開発しました。
伝統木造建築では、機能性と見た目の美しさを兼ね備えた「落とし込み板壁」(柱の間に板を落し込み、壁を構築する工法)が多く採用されています。しかしながら、当工法を採用した建造物には相当期間の築年数を経過している物件も有り、経年劣化を含め耐震性を考慮した建て替え、および耐震補強工事の需要が高まりつつあります。
しかしながら、これらの建造物では一般的な耐震技術である壁の増設や筋違(すじかい)の設置が望まれないため、耐震性と機能性、美しさを両立した、自由度の高い設計を可能とする耐震技術の開発が求められています。
このたび、大林組が開発した「スーパー板壁工法」は、これまでの一般的な落とし込み板壁と比較して、意匠性を損なうことなく、高い剛性と耐力を有する板壁を構築することが可能です。
「スーパー板壁工法」の特長は次のとおりです。
- 高い剛性と耐力を有する板壁
当工法では、板間の接合部や、柱・梁・土台への加工を工夫する事で、材質等を変更することなく、高い剛性と耐力を発揮することが可能です。地震や風圧への強さ(耐力)を示す数値として「壁倍率」があり、1mの壁幅で200㎏fの水平荷重に対する耐力があれば「壁倍率1倍」とされています。これまでの一般的な落とし込み板壁では0.6倍でしたが、この「スーパー板壁工法」では、木造として国内で初めて10倍超に相当することが確認されました。(公的機関((財)日本住宅・木材技術センター)における実大実験により確認)
- 従来と同程度のコストで施工が可能
伝統木造建築であれば、当工法とほぼ同じ規格の柱の太さや壁の厚さを採用しているため、従来とほぼ同等のコストでの施工が可能です。
- 設計自由度の向上
高い剛性と耐力を有する「スーパー板壁工法」は、耐震性を確保しながら壁の設置箇所数を2分の1程度に低減することが可能なため、外壁面の間口開口を大きく確保できます。新築物件に加えて既存建物の耐震補強にも適用可能であり、設計に自由度を持たせることで建物の付加価値を高めます。
- 木造建築への汎用性
伝統木造建築以外にも、柱サイズが6寸角(180mm)以上を採用している大型木造建物であれば、新築や耐震補強にも適用が可能です。
大林組は、今後も伝統建築を始めとした木造建築において、耐震性能を向上させるとともに、意匠の自由性を兼ねた付加価値の高い提案をお届けします。
このスーパー板壁工法は、大林組の研究開発チームと株式会社中村建築研究所、社寺工舎(菊池恭二棟梁)が東京大学木質材料学研究室 稲山正弘准教授の技術協力を得て開発したものです。
以上
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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