「スキップブレース耐震工法」を川崎市営河原町住宅耐震補強工事へ適用

集合住宅の耐震補強コストを大幅に削減

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、集合住宅の耐震補強コストを大幅に削減する「スキップブレース耐震工法」を確立し、川崎市営河原町住宅耐震補強工事へ適用しました。

旧耐震基準で設計された集合住宅は、耐震補強の必要性がありながらも、高額なコスト負担や、補強のために設置したブレースがバルコニーの開放性を損なうこと、一部住居の居住性を低下させることなどの課題があり、耐震補強が進んでいない現状があります。

スキップブレース耐震工法は、板状高層集合住宅に適しており、制振ダンパーを効果的に組み込み、大幅に補強材を削減したスリムな制振フレームを外廊下側に設置するだけで、開放性を確保しつつ大きな耐震効果を得ることができます。一般的な耐震補強工法と比較すると、大幅なコストの削減および工期の短縮が可能となります。

設計・施工一括方式発注の川崎市営河原町住宅耐震補強工事において、提案段階からその耐震効果と経済性が評価され、当耐震工法が採用されています。


本技術の特長

スキップブレース耐震工法は、次の3つの要素を効果的に組み合わせた技術です。

  1. メガ制振フレーム

    制振ダンパーを効果的に配置した、2フロアを1ユニットとした大組みのスリムな制振架構です。


  2. スキップブレース

    2組のメガ制振フレームを一つは奇数階、もう一方は偶数階で既存建物と接合することにより、すべてのフロアの地震エネルギーを吸収します。


  3. 2棟連結補強

    外廊下を挟んで向かい合う既存2棟の建物を、最上階と中間階付近の水平面内に配置した補強鉄骨で連結し、既存建物同士の衝突や渡り廊下の落下を防止します。

本技術のメリット
  1. 安全と安心を確保

    3つの技術を組み合わせ、スリムな架構で最大限の耐震補強効果が得られます。


  2. 居住者への配慮

    バルコニー側への補強を不要とするとともに、スリムなブレースを廊下から離れた位置に設置するため開放感を確保します。また建物との接合箇所を減らすことができるため、施工中の騒音・振動が軽減します。


  3. 経済性に配慮

    メガ制振フレームによる鉄骨部材や杭本数の削減、スキップブレースによる既存躯体との接合箇所の削減、2棟連結補強によるエキスパンションの改修工事の削減により工事費を大幅に削減します。

《川崎市営河原町住宅耐震補強工事の概要》

川崎市営河原町住宅耐震補強工事

  • 建築主は川崎市。対象建物は昭和47年~50年竣工の11~14階建のSRC造建物で合計4棟。延面積 約105,000m²

  • 設計・施工一括方式一般競争入札により、平成21年10月に大林・大末・相鉄・小俣JVが受注

  • 設計施工期間 平成21年10月~23年12月

  • 居住者の移転を行わず通常生活に支障のない「住みながら工事」を実現

  • 制振補強には座屈拘束ブレースを採用

  • 耐震補強計画は第三者機関(日本ERI)で評定を取得済み

大林組は、全国の集合住宅へスキップブレース耐震工法を適用し、安全安心で持続可能型社会の実現に貢献します。


スキップブレースのイメージ

開放廊下側のスキップブレースのイメージ

2棟連結補強のイメージ

制振フレームを挟んだ2棟連結補強のイメージ

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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