トンネル坑内の粉じん低減工法「トラベルクリーンカーテン」を開発

短時間で坑内の作業環境を飛躍的に改善

プレスリリース

株式会社大林組
株式会社東宏

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、株式会社東宏(本社:札幌市東区、社長:部田修弘)と共同で、トンネル坑内の粉じん低減工法「トラベルクリーンカーテン」を開発しました。

トンネル工事においてトンネル先端である切羽では、発破や機械による掘削、掘削土砂の積み込み、コンクリートの吹き付け、それらを行う工事機械の排煙により多様な粉じんが発生します。粉じんは、現場で従事する人々にとって肺機能の低下を招くじん肺の要因として大変深刻な問題であり、厚生労働省は『ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン』(2000年12月)で「切羽後方50mで粉じん濃度目標レベルを3mg/m³以下」と定めています。

従来、粉じん対策として、切羽付近に外気を送風・換気することによって粉じん濃度を希釈して低減する方法がとられてきました。しかし、近年のトンネル断面の大径化、工事機械の大型化に伴い、切羽付近で発生する粉じんは増加傾向にあるため、希釈に加え集じん機を併用することとなり、換気設備の大型化、それに伴う換気コストの増大や移動・設置の煩雑化が課題となっていました。

坑内環境イメージ図

坑内環境イメージ図

今回開発した「トラベルクリーンカーテン」は、隔離壁と圧力差を利用したトンネル坑内粉じん低減工法で、粉じん濃度の大幅な低減に高い効果があることを確認できました。


「トラベルクリーンカーテン」の主な特長は、以下のとおりです。

  1. 検証の結果「切羽後方50mでの粉じん濃度を0.1mg/m³」まで低減することを確認

    「トラベルクリーンカーテン」の粉じん低減効果を独立行政法人土木研究所内の模擬トンネルにおいて検証した結果、粉じん濃度は設置部のすぐ後方で、前述したガイドラインの目標レベルの30分の1である「切羽後方50mで粉じん濃度を0.1mg/m³」まで低減させることができ、その高い効果を確認しています。


  2. 開閉可能な隔離壁と隔離壁外周部にバルーン構造を採用し、状況に応じた吸排気制御を実現

    「トラベルクリーンカーテン」は、開閉可能な隔離壁と集じん機および送気ファンから構成されます。
    発破掘削時やコンクリート吹き付け時など、切羽付近で大量に粉じんが発生するときは、隔離壁車両通行部を閉じて粉じんを切羽付近に封じ込めます。掘削土砂の搬出作業など車両通行が必要なときは、隔離壁車両通行部を開きますが、切羽付近からの排気量と送気ファンによる給気量をコントロールして切羽付近を負圧にすることで粉じんの拡散を抑制します。
    隔離壁外周部には、凹凸のあるトンネル壁面への密着性に優れているバルーン構造を採用することで、外周部からの漏れを防ぎ、粉じんの封じ込め性・拡散抑制性を高めた結果、0.1mg/m³という高い粉じん低減効果の実現が可能となりました。


  3. 粉じん処理時間の25%短縮と電気使用量の26%削減が可能です

    発生粉じんを封じ込め、効率良く集じんすることができるため粉じん処理時間を25%短縮、同時に電気使用量を26%削減できます。(従来機比)


  4. 移動・再設置は容易で短時間(30分)の移動が可能です

    「トラベルクリーンカーテン」の移動はレール方式を採用し、狭いトンネル坑内の移動をスムーズかつ精度高く行えるようにしました。また、隔離壁外周部のバルーンは収縮・膨張をブロアで行うため、トンネル壁面への密着を短時間で確実に行うことができます。移動にかかる時間は30分程度で完了するためトンネル掘削サイクル内で行うことができ、切羽進行に追随する移動が可能です。

大林組は、従事者一人ひとりが安全・安心に働くことのできる職場環境の形成の観点から、トンネル現場内の作業環境の向上および作業員の健康維持のため、トンネル工事に、「トラベルクリーンカーテン」を積極的に提案・採用していきます。

設置イメージ図

設置イメージ図


隔離壁車両通行部 閉

隔離壁車両通行部 閉

隔離壁車両通行部 開

隔離壁車両通行部 開

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム

東宏
TEL 03-3683-8011

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。