株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、建物の制振システム「ブレーキダンパー」を改良した、低コストでコンパクトな新型の「ブレーキダンパー」を開発し、2012年1月20日付で一般財団法人日本建築センターの一般評定(※1)を取得しました。本評定の取得により、高層建物ごとの性能評価(※2)に要する審査期間の短縮を図ることができます。また、従来型のブレーキダンパーと組み合わせることで、効果的な制振提案が可能になります。
「ブレーキダンパー」は、自動車のブレーキを応用して、ステンレス板とそれを挟み込むブレーキ材を使用し、滑り摩擦によりエネルギーを吸収することで、地震時の建物の揺れを抑える制振システムです。2000年にブレース型、間柱型を開発後、2010年に一般評定を取得し、さらに風揺れに対しても効果のあるハイブリッド型などの改良を加えてきました。オイルダンパーなどと比較し低コストであり、メンテナンスフリーであることから、多くの建物に適用されてきました。
今回開発し、一般評定を追加取得した新型のブレーキダンパーは、摩擦力が作用する面を従来型の2面から4面に増やし摩擦力が2倍になるように改良を加えました。これによりコンパクト化が可能となり、かつコストを従来型の2面タイプに比べ2~3割低減することに成功しました。
ブレーキダンパーは、東京スカイツリーイーストタワー®にも採用されており、新型のブレーキダンパーもパレスホテル東京で採用されています。全タイプ合わせて40件以上の新築や耐震補強工事で実績があり、2012年度にはさらに10件程度の適用をめざしています。また、繰り返し作動しても性能を維持できるため、長時間揺れが継続する長周期地震動への対策にも適しています
【ブレーキダンパー比較図】
摩擦面を4つにした新型のブレーキダンパー
従来型のブレーキダンパー(摩擦面が2つ)
【ブレーキダンパー採用例】
【ブレーキダンパーの採用実績】
※1 一般評定
建築に関する新技術・新材料を普及させるため、日本建築センターなどの機関がその新技術・新材料の性能を第三者として評価しています。日本建築センターでは、この第三者評価を「評定」と呼んでいます。「評定」には、個別の建築などを対象とする「個別評定」と、一定の適用範囲を定めて用いられる構法などを対象とする「一般評定」があり、ブレーキダンパーは「一般評定」の取得によって技術の普及をめざしています。「一般評定」を取得することで、個別物件ごとの性能評価(※2)審査において、適用範囲を確認すれば技術内容に関する説明の簡素化や審査期間が短縮できると期待されます。
※2 性能評価
新しく開発された材料、設備や特殊な構造方法を用いた建築物の中には、建築基準法令に定められた一般的な基準ではなく、高度な方法を用いて性能を検証するものがあります。このような場合に対応するため、国土交通大臣がその性能を認定する制度が設けられています。この大臣の認定を受けるために必要な事前の審査として、指定性能評価機関による「性能評価」が建築基準法令によって定められています。
大林組は、ブレーキダンパーを新築工事や耐震補強工事へ積極的に適用を提案していくとともに、地震などの揺れに対するお客様の安全・安心を追求していきます。
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