小断面トンネル用連続ベルトコンベヤーを開発・実証

下水道、電力、ガスなどの長距離インフラ設備用トンネルを高速施工

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、バンドー化学株式会社(本社:兵庫県神戸市、社長:谷和義)、タグチ工業株式会社(本社:福岡県福岡市、社長:田口一生)、小西咲株式会社(本社:大阪府吹田市、社長:小西咲三)と共同で小断面トンネル用連続ベルトコンベヤーを開発し、実証実験を行いその性能を確認しました。

近年、泥土圧式シールドトンネルでは、トンネル工事の長距離化に伴い掘削土の搬出能力が高い連続ベルトコンベヤーが多く採用されています。

従来の連続ベルトコンベヤーのベルト幅は最小でも610mmであり、設置するためには、シールドトンネルの掘削外径がφ3.5m以上で、かつ坑内の設置空間が確保される場合に限定されていました。現状の下水道、電力、ガスなどのインフラ設備用のシールドトンネルの発注傾向は、掘削外径がφ2m~3.5m程度の小さなトンネル断面の物件数が多くを占め、中にはトンネル線形に急曲線部を含んで長さが数キロメートルに及ぶケースもあります。しかし、連続ベルトコンベヤーでは搬出能力を確保しつつベルト幅を狭くするなど、曲線に対応することが困難でした。

今回開発した「小断面トンネル用連続ベルトコンベヤー」は、ベルトの幅を、従来最小品と比較し約25%コンパクトにすると同時に、高効率性や高い搬出能力、急曲線やあらゆる土質に対応した搬送時の安定性能を備えており、その実用性を大林組大阪機械工場の実験施設にて確認いたしました。これにより、径2m程度の小断面の長距離シールド工事にも連続ベルトコンベヤーの採用が可能になり、高速施工に高い効果を発揮し、工期短縮が可能となります。

「小断面トンネル用連続ベルトコンベヤー」の主な特長は次のとおりです。

  1. 長距離トンネルの高速施工による工期短縮(20%程度)が可能となるとともに電力コスト(50%程度)も抑えられます

    掘削外径φ3.5mで5kmのシールドトンネルを想定した場合、連続ベルトコンベヤーは、ずり鋼車方式に比べて坑内運搬装置の運行に左右されないため、掘進サイクルタイムが20%程度改善され、高速施工・工期短縮ができます。また、土砂圧送方式や泥水輸送方式と比較してエネルギー効率が高いので電動機出力が約50%程度削減できるため、電力コストを抑えられます。

  2. さまざまな土質に対応でき、最大で60t/hrの搬出能力があります

    土砂圧送・流体輸送方式は、玉石や大きな礫(れき)を搬送するためにクラッシャーで砕いてから搬送する必要(配管径の3分の1の大きさ)があり、砂質土の場合は土砂搬送用中継設備で加泥材を加えて搬送する必要があります。しかし、連続ベルトコンベヤー方式では、ベルト上に乗る搬送物であれば(ベルト幅の3分の1の大きさ)、土質を問わず連続的に安定して搬送することができ、ベルト幅450mmでは最大60t/hrの搬出能力があります。

  3. ランニングコスト(50%低減)や土砂搬送用中継設備の設置回数が少なくできます

    掘削対象土質が礫や砂質土の場合、土砂圧送・流体輸送方式ではポンプの損傷や摩耗が著しくランニングコストが増加しますが、連続ベルトコンベヤーの場合50%程度に低減できます。また、中継設備となるポンプの設置は土砂圧送・流体輸送方式では300m~500mごとに設置となりますが、連続ベルトコンベヤーでは、条件によっては1,500m程度まで延長できるので、中継設備である中間ブースタの設置回数を少なくできます。

大林組は、小断面トンネル用連続ベルトコンベヤーを積極的に技術提案し、小断面の長距離シールド工法における工期短縮など、お客様のニーズにお応えしてまいります。

【参考資料】

    「小断面トンネル用連続ベルトコンベヤー」の性能

  • ベルト幅:450mm(ベルト張力 630N/mm、プライ数 3)

  • ベルト速度:最大145m/min

  • 中間ブースタ:幅840mm×高さ822mm×長さ2,657mm 45kW(4p×400V)

  • 最大搬送量:60t/hr(例:掘削外径φ3.5mのシールド機で掘進速度50mm/min)

坑内設置状況

キャリアーフレームの設置状況(内径φ2.0m)

キャリアーフレームの設置状況(内径φ2.0m)

カーブでの設置状況

カーブでの設置状況

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム

バンドー化学株式会社 産業資材事業部 営業部
TEL 03-5484-9100

タグチ工業株式会社 東京支店
TEL 03-5777-2201

小西咲株式会社 吹田工場
TEL 06-6381-2224

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。