大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は11月26日、東海・東南海・南海地震の震源域が連なる「南海トラフ巨大地震」を想定した震災訓練を実施しました。内閣府が発表した最新の最大被害想定を基に、マグニチュード9.0、太平洋沿岸の広範囲にわたり震度7の揺れを観測した設定で行い、国内事業所の全社員(約9,200人)が参加しました。また、グループ会社17社とも連携した被害報告訓練を行いました。
南海トラフ巨大地震が発生した場合、建物の倒壊に加えて津波により広域かつ甚大な被害が想定されます。そこで、大林組では、従業員の安全確保を第一に、被害情報の早期把握、迅速な災害復旧体制の構築、復旧要員派遣などの被災店への支援体制に焦点を当てた訓練を行いました。
発災後、本社(東京都港区)に副社長の金井誠を本部長とする震災対策本部を速やかに立ち上げ、名古屋、大阪、広島、四国、九州の被災店と支援店とをTV会議などで常時接続を行い、大林組独自開発の地震被害予測システムに基づく自社施設、施工中物件および顧客物件などの被災想定について情報を共有しました。
被災店内では、各地域の事業所と電子メールおよびMCA(Multi Channel Access System)無線などを利用した報告訓練を実施するとともに、協力会社と連携して労務・資機材などの施工力の確保について確認しています。
一方、震災対策本部では、被災店からの支援要請を確認のうえ、震災対策本部各班による支援策の構築を行いました。中でも広域にわたり復旧要員派遣や生活物資・資機材の調達・輸送が必要になることから、早期にかつ確実に投入する方策について検証し、各地の機械工場、機材センターを物流拠点とした体制を見直しました。
今回の訓練を通じて、東日本大震災での教訓を基に改訂した大林組震災時BCPは、有効であることが確認できました。今後も、多面的に検証・精査を継続し、具体的かつ実効性の高い震災時BCPに反映していきます。
大林組は、今後も建設産業の使命として、経営資源を有効に活用して災害に対する復旧・復興と災害に対する備えに取り組んでいきます。
災害に対する復旧・復興への取り組み(南海トラフ巨大地震想定訓練)
- 従業員の安全確保のために
(1)全社員(約9,200人)を対象とした安否確認の実施
(2)各事業所における点呼確認などの初期行動訓練の実施
(3)津波被害エリアの事業所における避難計画の策定と避難訓練の実施
(4)帰宅困難者帰宅対応策の検討(帰宅ルールの決定、グループ間での帰宅困難者相互支援体制の構築)
(5)グループ企業からの被害報告訓練の実施
- 被害情報の早期把握のために
(1)大林組独自の地震被害予測システムにより、施工物件の被害の予測
内閣府が公表した新たな被害想定に基づき、地震被害予測システムにより施工物件の被害をシミュレーションしました。このシミュレーション結果を基に、応急危険度判定員の派遣や資機材の投入など、限られた経営資源の効率的かつ迅速な対応につなげます。【大林組被害予測システム】
(2)営業、施工担当の約2,100人の社員を対象にした、携帯BCP(被害情報自動集約システム)による被害状況報告の実施
(3)初動期における被害状況調査の実施(ヘリコプターによる上空からの被災状況調査)
- 災害復旧体制の迅速な構築のために
(1)震災対策本部(本社)、現地震災対策本部(被災店)の早期立ち上げ
各本部を早期に立ち上げ、各本部間をTV会議、WEB会議、衛星携帯電話、MCA無線などの複数の通信手段を用いて連携訓練を実施しました。(2)労務・資機材などの施工力確保を目的とした協力会社との連携訓練の実施
(3)代替え拠点における拠点参集スタッフ訓練の実施
震災対策本部設置予定の本社が被災し、ビル機能を維持できない場合を想定して、代替え拠点となる大林組技術研究所(東京都清瀬市)において、周辺居住者による参集訓練を実施しました。(4)応急危険度判定員による顧客および地域における建物被害度調査のさらなる早期把握に向けた検討の実施
東日本大震災以降、応急危険度判定員(現在約700人)の増強および装備品の拡充を図っており、これを推進するとともに、地震被害予測システムなどのツールを活用し、震災時トリアージ(※1)の考え方を採り入れた被害調査を展開し、早期復旧につなげます。
- 被災店への実効性の高い支援のために
(1)復旧要員の選定、派遣手段の確認および輸送ルートの選定の実施
(2)各地域の機械工場、機材センターを物流拠点として、生活物資・資機材の調達先の確認および輸送手段、輸送ルートの選定の実施
災害に対する備え
- 全社員に対して、一日分の非常用飲食料などをセットにした「あんしんボックス」の配布
大林組では、従来、備蓄品の保管スペースが十分に確保できない現場などの事業所については、本支店や機械工場などの拠点に保管している集中備蓄を速やかに搬送することとしていました。しかし、発災直後の搬送に課題が残ることから、必要最低限の飲食料を各自の机の中で保管することを目的に、常設、現場を問わず全社員に「あんしんボックス」を配布しました。
- 自家発電機設備のない事業所を中心に、震災時における停電に備えて、最低限の初動対応を賄うため、蓄電設備の設置(14事業所)
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。
Tweet