中高層板状集合住宅向け新構法「C.I.P.」を開発・適用

中央に集約した水廻りゾーンを活用し、経済的で自由な住戸プランを実現

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、中高層板状集合住宅を対象とした、経済的で自由な住戸プランを実現できる新構法「C.I.P.」(Center Intensive Performance system)を開発し、大林組施工のマンションに適用しました。

一般的な中高層板状集合住宅の架構は、個々の住戸プランの水廻り位置に合わせてスラブ(※1)に段差を設け(※2)、戸境(住戸間の壁)をすべて耐震壁としていました。そのため水廻りの移設が困難であり、住戸プランおよび住戸区画の可変性に制約がありました。さらに、最上階や最下階に設けられる大型の共用スペースなども耐震壁の影響を受けて、平面計画に制限があるなどの課題もありました。

今回開発した「C.I.P.」は、住戸間の耐震壁や段差スラブ梁を中央に集約させた構造架構を形成することで、構造安全性を維持しながら、これらの課題に対する改善や施工性の向上、躯体コストの低減を可能にしました。

この「C.I.P.」を適用したグランロジュマン豊中少路Ⅰ期工事(大阪府豊中市)が2013年2月に竣工しました。また、現在施工中のグランロジュマン豊中少路Ⅱ期・Ⅲ期工事および、特命案件で現在計画中の(仮称)吹田市青葉丘南マンション計画においても適用しています。

平面図

 

 断面図

 

「C.I.P.」の特長は以下のとおりです。

  1. 住戸プランの可変性を確保

    中央部に集約した水廻りゾーンを段差スラブとすることで、ゾーン内であれば水廻りを自由に配置できることとなり、計画時だけでなく将来的な水廻り配置の自由度・可変性が確保され、住戸のプラン変更が容易になります。

    住戸プランの可変性を確保

  2. 最上階・最下階の有効利用と住戸区画の可変性を実現

    戸境の耐震壁が中央部のみに設置されているため、耐震性能上弱点となる上層階と同じ位置にある耐震壁を取り払うことなく、最下階に集会室など大型共用スペースが実現でき、最上階部分では大型の住戸区画や広範囲な共用スペースの確保が可能です。
    さらに隣接した住戸を3世代家族が購入した場合、ライフステージに対応し住戸区画も変えたリフォームが可能です。耐用性の高い長寿命住宅でもあります。

    住戸区画の可変性を実現

  3. 躯体コストの10%削減と工期の短縮が可能

    段差スラブ梁を利用して、中央部に構造架構を形成することにより、戸境壁をすべて耐震壁とした中高層板状集合住宅に比べて、躯体コストを10%程度削減することが可能です。また、躯体数量の削減や型枠量も少なくなることで、段差スラブの施工性が向上し、短工期となります。

大林組は「C.I.P.」を中高層板状住宅に積極的に提案し、デベロッパーや住民の多様なニーズにお応えしてまいります。

※1 スラブ
床版。一般的にはコンクリートの床をいう。

※2 段差スラブ
スラブに段を付けること。水廻り部分は排水管などの設置のため、床下の高さを居室部分より大きくとる必要がある。段差を付け、水廻り部分の床下のスラブを低くすることで、床をフラットにできる。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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