がれき残渣を有効活用した建設資材アップサイクルブロックを宮城県発注災害廃棄物処理業務に初適用

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、がれき残渣を有効活用した建設資材アップサイクルブロックを開発し、現在実施中の災害廃棄物処理業務に適用しました。

東日本大震災では東北3県(岩手県、宮城県、福島県)で、約1,600万t(2013年8月末現在)の災害廃棄物が発生しました。災害廃棄物は、中間処理施設にて破砕・選別処理後にリサイクルが図られていますが、リサイクルできない混合廃棄物(以下、がれき残渣)が全体の1割弱発生しています。

がれき残渣は、不燃物としてそのまま最終処分場で埋め立て処分せざるを得ず、最終処分場の残存容量がひっ迫しています。一方、被災地では、復興事業に際して大量の盛土材が必要となっています。各県において、盛土材を他の工事で発生したものの利用や土取り場からの購入で確保する予定ですが、必要土量には地域的・時期的な偏りがあり、盛土材の不足が指摘されています。

大林組では、がれき残渣を有効活用し、最終処分量を削減すると同時に、被災地で不足する盛土材の代替え材として活用できるアップサイクルブロックを開発し、技術の普及に取り組んできました。

このたび、宮城県発注の災害廃棄物処理業務(亘理名取ブロック(亘理処理区))にてがれき残渣の処理手段として、アップサイクルブロックが採用され、一日当たり最大で200個強のブロックを製造しています。製造されたアップサイクルブロックは、亘理町の復興事業に活用されます。


アップサイクルブロックの製造現場

アップサイクルブロックの製造現場

復興事業に活用されるため仮置きされるアップサイクルブロック

復興事業に活用されるため仮置きされるアップサイクルブロック

アップサイクルブロックの主な特長は以下のとおりです。

  1. がれき残渣の最終処分量を削減

    がれき残渣を活用してアップサイクルブロックを製造した場合、最終処分する場合に比べてコストを約10%削減できます(亘理処理区をモデルとした試算結果)。最終処分量を削減できるため、既設最終処分場へ負担を軽減するとともに、最終処分場の拡張や新設に要する時間・コストも削減できます。

  2. 環境に安全な建設資材として再生

    がれき残渣に万一、重金属などの有害物質が混入していたとしても、セメントで固化することで、溶出を防止できます。周辺環境に悪影響を及ぼさない安全な盛土材としてがれき残渣を再生し、公園や防災林などの盛土材や地盤の置き換え材として、アップサイクルブロックを適用できます。

  3. 安定した品質を確保

    地域によってがれき残渣の特性は異なりますが、その特性に応じたコンクリートでブロックを製造することで、要求される品質基準(圧縮強度、出来形)を満足できる建設資材として供給します。

なお、本技術開発は、その一部を国土交通省の平成23年度補正予算 建設技術研究開発助成制度「震災対応型技術開発公募」の助成を受け6者共同(※1)で実施したものです。

大林組は、アップサイクルブロックにより、がれき残渣の最終処分量の削減と建設資材の供給を同時に実現することで、被災地の復興事業に貢献するとともに、これからも社会的な課題の解決に向けた技術の開発を進めていきます。

※1 財団法人先端建設技術センター、株式会社大林組、鹿島建設株式会社、株式会社熊谷組、清水建設株式会社、大成建設株式会社

アップサイクルブロックの製造


以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。