株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は国立大学法人北海道大学(北海道札幌市)と共同で、上向き作業時に首の疲労を軽減し、作業効率を改善する「上向き作業軽労化装具(疲れ知らずスーツ)」を開発しました。
従来、建設現場では、天井工事(軽量鉄骨、ボード、システム天井、塗装など)や補修工事(吹き付け、左官、鉄筋組み立てなど)の工種があり、その作業の多くは首への負担が大きい上向き作業で、作業員にとって厳しい労働環境となっています。身体的負担から、首を上に向けることができる時間に限りがあるため、作業効率の低下にもつながっています。首の負担を軽減するサポーター類は、以前から各種商品化されていますが、首全体を覆うことによる首の固定や上半身全体の動きの制約により、作業への障害になるという課題がありました。また、建設作業に適用する際には、簡単に装着できることや装具の重量が負担にならないことが求められていました。
今回開発した「疲れ知らずスーツ」は、弾性素材のみを利用したジャケット式のモデルです。新築工事をはじめ、今後の工事増加が想定される維持管理・補修・補強工事など、さまざまな工事に適用でき、労働環境を改善することで生産性向上に寄与します。大林組では、既に桟橋補修工事や設備配管工事へ導入しており、今後も上向き作業を伴う工事への普及展開を推進していきます。
北海道大学大学院情報科学研究科の田中孝之准教授は、人体の負担を軽減する軽労化技術の研究開発を進めています。既に、作業姿勢や動作に応じて最適な補助力を発生させる補助具「スマートスーツ®」などを開発し、幅広い分野へ展開しています。
「疲れ知らずスーツ」の共同研究では、そうした軽労化の豊富な実績と技術力を融合し、より信頼性の高い装具開発を追及しました。
「疲れ知らずスーツ」の主な特長は、以下のとおりです。
- 上向き作業時の疲労を低減
「疲れ知らずスーツ」は、力学的な解析により上向き作業を最適にアシストするよう、弾性材や構造の設計を行っています。一般的なネックサポーターと異なり、補助力が首回りや背筋にも作用し体幹安定性を向上させることから、未装着時に比べて胸鎖乳突筋(首側面前方の筋肉)の筋活動量を約40%低減することができます。また、首の疲労度を大幅に軽減するだけでなく、2次的な疾病である肩こりなどの防止も図れます。
- シンプルな構造で装着がしやすく軽量なため、負担なく作業が可能
シンプルな構造のため着脱が容易にでき、重量も200gと非常に軽いため、装着による負担を感じません。作業時の動作についても制約を受けることなく、未装着時と変わらない動きが可能です。また、ジャケット部の伸縮機能により、姿勢を正しく保つ機能を併せ持ちます。
- 体型問わず装着が可能
柔軟なストレッチ素材を用いているため、体型を問わずに装着することができます。また、作業着のインナー、アウターを問わず、作業員のニーズに応じた装着が可能です。
大林組は、建設現場における重作業の軽減による労働環境の改善や、それに伴う技能労働者増加への寄与、生産性のさらなる向上を主な目的として、作業の機械化をはじめ、作業アシスト用の装具の研究開発を続けています。将来的には動力やセンサー類を用いて、パワーの増幅を伴うロボット式装具の開発をめざします。
【疲れ知らずスーツ】
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