普通コンクリートを瞬時に高流動化させる「フローアップクリート」を開発・適用

全国どこでも供給可能で、高い流動性と最大20%のCO2削減を実現

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、現場で普通コンクリートに流動化剤を添加するだけで、全国どこでも供給可能な、高性能な流動化コンクリート「フローアップクリート」を開発しました。

建物の耐震性向上のニーズに伴い、過密配筋の構造物や、強度、剛性などの面で優れた性能を持つCFT造(コンクリート充てん鋼管構造)の採用が増加しています。特にCFT造は、2002年の国土交通省告示によって、ほかの構造と同様に通常の確認申請が可能になり、最近では、中高層の事務所ビルをはじめ、工場、倉庫、物流センター、学校など、全国の多くの施設で採用が進んでいます。

過密配筋の構造物やCFT造では、コンクリートを隅々まで均質に行きわたらせる必要があり、流動性の高いコンクリートが求められますが、一般的に使用されている普通コンクリートには必要な流動性がありません。従来は、水と混ざることでペースト状になる性質を持つセメントの混合量を多くすることで流動性を高めた、高強度コンクリートを使って対応していました。しかし、高強度コンクリートはセメントの混合割合が多いため、普通コンクリートよりも水和反応による温度上昇が大きく、ひび割れのリスクや、CO2排出量が増加するという課題がありました。

また、高強度コンクリートは製造プラントごとに大臣認定が必要で、地域に認定を保有するプラントがない場合は、設計段階でCFT造については諦めなければならないケースも多くありました。さらに、中低層規模のCFT造建物などでは、高強度コンクリートは流動性を担保する目的でのみ使用されており、本来要求される設計基準以上の強度であるためにコストアップの要因になることなど、多くの問題点を抱えていました。

今回開発した「フローアップクリート」は、普通コンクリートをベースに増粘成分を有する流動化剤を用いた高性能な流動化コンクリートです。今回、このコンクリートをCFT造の圧入工法へ適用できることを実験で確認し、オフィスビルや病院施設などの建築工事に適用しました。

「フローアップクリート」の主な特長は以下のとおりです。

  1. 全国どこでも供給でき幅広い用途に適用
    1. (1)特別な装置・設備を用いることなく、現場においてアジテータトラック(生コン運搬車)内の普通コンクリートに、今回開発した流動化剤を一定の割合で添加することで製造可能なため、普通コンクリートが供給可能なすべての地域で使用できます。また、高流動系のコンクリートは、長距離の運搬となる場合、時間の経過とともに流動性が低下するリスクがありましたが、「フローアップクリート」はその心配がなく、むしろそうした地域の現場に最適な材料です。この流動化剤は、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)の規格に適合しています。

    2. (2)CFT造や複雑な形状となる免震基礎の下部、過密配筋部など、流動性の高いコンクリートを必要とするさまざまな用途へ適用できます。「フローアップクリート」は、普通コンクリートに流動化剤を加え製造した流動化コンクリートとしては、唯一、CFT造に適用可能です。

  2. 高い流動性と省CO2を実現
    1. (1)この流動化剤によって、流動性の指標でみると、スランプ18cmの普通コンクリートがスランプフロー25~30cm程度であるのに比べて50~60cmと、極めて高い流動性が確保できます。また、増粘成分により材料分離が少なく、打設時も高い流動性と均質性を保持することから、従来の高強度コンクリートと同様にポンプ圧送が可能です。さらに、振動機などを用いてコンクリートを隅々まで均質に打ち込む「締め固め」と呼ばれる、コンクリート打設時の作業が不要あるいは軽減されるため、施工品質と生産性の向上が図れます。

    2. (2)高強度コンクリートを用いる場合に比べ、コンクリートの温度上昇を抑えられることから、ひび割れのリスクが低減し、CO2排出量を最大約20%削減できます。また、コストについては、高強度コンクリートと比較して、最大約10%削減することが可能です。

大林組は、全国どこでも供給可能な流動性の高いコンクリート「フローアップクリート」を活用し、お客様のさまざまなニーズにお応えするとともに、安全・安心な社会の構築にこれからも貢献していきます。

【参考】

高い流動性を実現


以上

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