株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、日本電気株式会社(以下NEC、本社:東京都港区、社長:遠藤信博)と株式会社シフト(本社:東京都新宿区、社長:辻博文)と共同で、NECが保有する顔認証技術とシフトが保有するカラーバーコード技術を組み合わせた、高機能セキュリティシステムを構築しました。
さまざまな情報資産が集積するデータセンターや厳しい衛生管理が求められる食品工場などでは、施設への入退室管理にたいへん高度なセキュリティが求められており、昨今の情報漏えい事件や食品への農薬混入事件を受け、その要求は一層高まっています。
これまでも、セキュリティ強化に向け、生体認証を含んださまざまな2要素認証のシステムが構築されておりますが、ICカード(ICタグ(※1))と指紋認証の組み合わせなど、2つのシステムを別個に導入する必要があり、イニシャルコストが大きくなることが問題でした。また、これらの認証システムの場合は、扉ごとに認証装置を設置のうえ専用のネットワークを構築しなければならないなど、施設建設後に導入するに当たってはコストのみならず、多大な手間を要するといった問題もありました。
今回のシステムは、大林組が顔認証とカラーバーコードという同じ画像認識技術を組み合わせることを構想し、NECの子会社で顔認識ソフト「KAOATO」を有するNECソリューションイノベータ株式会社(本社:東京都江東区、社長:毛利隆重)と、カラーバーコードソフト「カメレオンコード」を有するシフトの3社で有効性を実証のうえ、構築したものです。認証ソフトはNECソリューションイノベータとシフトが共同で、「KAOATO」に「カメレオンコード」を組み込む形で製品化し、保守体制も構築されています。
2つの技術とも画像認識技術を活用したものであるため、1つのシステムで対応でき、導入に当たってのイニシャルコストを安価に抑えることができます。また、2つの技術を組み合わせることで、顔認証だけではハード面の問題から1,000人程度が上限であった管理人数を数万人規模に拡大できるとともに、歩いている状態でも画像内の少ない画素数でカラーバーコードを認識し、人物のIDを特定した上で顔認識を実行できます。これにより、建物内に設置されている既存監視カメラなどの画像を活用することができ、導入コストのさらなる低減が図れます。
本システムの特長は以下のとおりです。
- 1つのアプリケーション、1つのカメラで2要素を同時認識
2つの技術とも画像認識技術を活用するため、統合化された1つのシステムで対応でき、ICカード(ICタグ)を利用した場合のようにシステムが二重になることがありません。1つのカメラから取得した画像内で、顔の位置、カラーバーコードの位置を自動で認識し、照合することができるため、ハンズフリーによる入退室管理が可能です。高度な衛生管理およびフードディフェンスが求められる食品工場など、入室前にICカード(ICタグ)を手に持ち、カードリーダーにかざすといった動作ができない場合にはハンズフリー認証が欠かせませんが、本システムを用いれば高度なセキュリティシステムを容易に導入することができます。
本システムは食品工場のほか、堅固なセキュリティを要求されるデータセンター、研究施設、病院など、利用者や居住者の利便性の確保と部分的なセキュリティ強化の両立が必要とされる施設にも適しています。 - 特殊な機材が不要で、安価に導入可能
本システムは特殊な認証装置を必要としません。顔認証には特殊なカメラではなく既存のメガピクセルカメラで対応することが可能で、従来からある監視カメラ網を利用することができます。また、カラーバーコードは管理者権限の下、既存のカラープリンターで印刷し利用することができるため、ICカード(ICタグ)システムのように専用のICカード(ICタグ)発行機を必要としません。さらに、メンテナンスの面でも従来のハンズフリー認証で利用されているアクティブタグ(※2)のように電池交換の必要もありません。
設置に要する工事費も画像認識用のサーバの設置費用と調整費用のみで、従来のセキュリティシステムに比べて導入費用を大幅に低減しています。
大林組は、ハンズフリー・セキュリティシステムとして、RFIDタグ(※3)を活用した入退場管理システムを既に構築しておりますが、今回開発したシステムを含めて積極的に提案を行うことで、お客様のBCPを、施設整備のハード面だけでなくソフト面からも支援し、安全・安心な施設環境の実現に貢献していきます。
- ※1 ICタグ(パッシブタグ)
電池を持たないICタグのことを、“パッシブタグ”と呼ぶ。一般的に“ICタグ”といえばこの“パッシブタグ”のことを示す場合が多い。“パッシブタグ”は電源を持たないため、リーダー/ライターのアンテナが放つ電波で電磁誘導を起こすなどの手段で駆動し、電波の受発信を行い通信する。このため、リーダー/ライターとの通信距離は短いもので数mm、長くても数十cm程度に限られる
- ※2 アクティブタグ
電池を持つICタグのことを、“アクティブタグ”と呼ぶ。“アクティブタグ”は自らの電源で駆動し、電波を受発信するため、リーダー/ライターとの距離が長くても通信することができる
- ※3 RFID(Radio Frequency Identification)
メモリ機能を持つICチップを内蔵した“RFIDタグ(ICタグ)”にデータを格納し、人や物や場所に貼付。電波を用いてデータの読み出し・書き込みを行い、対象を一つひとつ識別する自動認識技術の総称
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。