屋外用保水冷却パネル「打ち水ウォール®」を開発

oak omotesando(オーク表参道)へ適用、最大4℃の気温低下

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、有孔成形鋼板に保水材と給水システムを組み合わせた屋外用保水冷却パネル「打ち水ウォール」を開発しました。

都市部のヒートアイランド現象は年々顕著になっています。街のにぎわいを創出するため、道路や建物周りをオープンカフェや休憩スペースにするなど、都市部では屋外空間の積極的な活用が進んでおりますが、夏季日中には路面温度は60℃以上に達するため、暑熱対策が求められます。

今回開発した「打ち水ウォール」は、パネルタイプの保水冷却システムです。有孔成形鋼板からなるパネルの内部に保水材を充てんし、上部から少量の水を点滴給水することによって、保水材全体を湿潤させます。パネル内や表面を風が通り抜ける際に、保水された水が蒸発し、気化熱が奪われることでパネルや周囲の空気を冷却し、屋外での快適性を向上させます。

当システムは、大林組グループが保有する、商業施設とオフィスの複合ビル oak omotesando(東京都港区)の、屋上の設備機械室と休憩スペースとの間の壁に設置されています。夏季の測定では、パネル近傍の空気は最大4℃低下し、利用者へ涼を提供しました。また、パネル日陰面の表面温度は、同じ日陰面の本システム非設置箇所と比較して最大約16℃低下しました。

「打ち水ウォール」の特長は以下のとおりです。

  1. 冷気と冷ふく射効果により快適性を向上

    パネル内を通過する空気が冷やされることによって、周囲の気温を低下させることができます。また、日陰では冷たいパネル表面に体温が奪われる冷ふく射効果により、付近にいる人はさらに涼しく感じられます。

  2. 2種類の保水材から選択

    保水材には、石材タイプとシートタイプがあります。
    石材タイプは、2枚のC型断面有孔成形鋼板を用いて中空スペースを作り、そのスペースに保水石材(自然石)を隙間ができるように充てんします。保水石材間を空気が流通することにより、水と空気の接触面積が増え、蒸発冷却を促進させます。外構の休憩施設や屋上の機械設備置場のパーティションなどに適しています。
    シートタイプは、2種類の保水シートを巻いて反物状にし、1枚のC型断面有孔成形鋼板に固定します。石材タイプよりも軽量で安価であり、また、簡易に設置できるため、小さなスペースや、リニューアル物件への後付けでの使用に適しています。

  3. イニシャルコストを低減

    安価な市販の有孔成形鋼板と市販の保水材を利用することによって、システムの材料費を抑えました。同様の機能を持つ保水性セラミックブロックを用いた冷却壁と比べ、導入に当たってのコストを半分に低減しました。

大林組は、今後、「打ち水ウォール」を、商業施設をはじめ、2020年に開催される東京五輪・パラリンピックの関連施設などさまざまな集客施設に、積極的に提案していきます。

【サーモグラフィフィー(石材タイプ)】

屋上休憩エリア

屋上休憩エリア

サーモグラフィー

サーモグラフィー

【保水石材の充てんの様子】

背面からの写真

背面からの写真

【断面図】

断面図

断面図

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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