既存コンクリート地下躯体の再利用に向けた劣化の評価・抑制技術を確立

中性化深さの進行と抑制効果の評価法に対し、日本建築センターの評定を初取得

プレスリリース

既存コンクリート地下躯体の再利用に向けた劣化の評価・抑制技術を確立しました

中性化深さの進行と抑制効果の評価法に対し、日本建築センターの評定を初取得

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、既存のコンクリート地下躯体の再利用に向けた劣化の評価・抑制技術を確立しました。また、中性化深さ(※1)の進行と補修による抑制効果の評価方法に関して、一般財団法人日本建築センターの評定を取得しました。この分野の第三者評定取得は国内初となります。

東京の、都心3区(千代田区、中央区、港区)では、今後5年間に新築される大規模オフィスビルの61%が建て替えとなるとの調査結果(森ビル株式会社「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査」2014年調べ)が発表されています。その建て替え時に既存の地下躯体を再利用することができれば、「工期やコストを縮減する」「解体に伴う廃棄物量や掘削に伴う土量を削減でき、環境負荷を低減する」などのさまざまなメリットが得られます。特に都心部の狭あいな敷地においては、隣接建物への影響も少なく非常に有効です。

地下躯体を再利用する場合、新設となる地上部と比較して、地下部は経年劣化による耐久性の低下が懸念されます。コンクリート内部の鉄筋は、コンクリートのアルカリ性によって酸化を免れ、さびから守られています。

しかし、空気中の二酸化炭素がコンクリート中に浸入すると、コンクリート表面から徐々にアルカリ性が失われる「中性化」という現象が起こります。中性化自体はコンクリートの強度を低下するものではありませんが、中性化深さが鉄筋まで到達すると鉄筋がさびる可能性が高くなり、耐久性が低下する恐れがあります。安心して地下躯体を再利用するためには、既存のコンクリート地下躯体の中性化深さを評価・抑制する技術が必要不可欠となります。

大林組は、既存地下躯体の活用を進めるため、コンクリート躯体の寿命を決定する現状の中性化深さを適性に評価し進行を抑制する方法、およびその抑制効果の評価法を一連のシステムとして確立しました。

現在、東京都中央区において建設中のオフィスビル(発注者:日誠不動産株式会社、地下4階、地上12階、免震構造)へ適用中です。このビルでは中性化深さの進行を4分の1以下に抑制し、建て替え後の建物の供用期間中も中性化深さが鉄筋まで到達しないよう補修を行いました。この技術を適用して、既存の地下躯体を再利用することにより、地下躯体を解体して新築した場合と比較して、工期を約1年短縮できました。また、地下躯体解体に伴う廃棄物量を低減でき、環境負荷の低減に貢献しました。

本技術の主な特長は、以下のとおりです。

  1. 既存のコンクリート躯体の残り寿命を評価します

    中性化深さの予測

    中性化深さの予測

    コンクリート躯体のかぶり厚さと中性化深さの調査を行い、現状の中性化深さを評価し、今後の中性化深さの進行を予測します。

    予測は、仕上げ材の有無および温度、湿度や二酸化炭素濃度などの環境条件を考慮して精度を高め、この結果をもとに残り寿命を評価します。

  2. 中性化深さの進行を抑制し、延命化を図ります

    補修材施工の様子

    補修材施工の様子

    残り寿命の評価結果と今後の供用期間を比較し、今後必要となる中性化深さの低減率を求めます。

    この低減率を確保するために、中性化を抑制する塗装材(補修材)の選定・施工・維持管理の適正な方法を組み合わせます。

  3. 高い信頼性を有します

    建設中のオフィスビルで適用した中性化深さの進行と補修による抑制効果の評価法について、日本建築センター内に設置された特別委員会のもとで評価を受け、評定を取得し、信頼性を高めました。

    補修材のなし、ありの比較。ピンクの部分はアルカリ性、グレーの部分は中性化が進んでいるところ

    ピンクの部分はアルカリ性、グレーの部分は中性化が進んでいるところ

大林組は、本技術と2013年に日本建築センターの一般評定を取得した「既存杭の健全性の評価技術」を併せて活用することで、地下躯体の再利用を促進し、安全・安心を確保しつつも省力化と省資源化による環境負荷の低減によって社会への貢献をめざします。

※1 中性化深さ:コンクリートの表面から中性化した内部までの距離

 以上

 

この件に関するお問い合わせ先

大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014
 

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。