優れた耐酸性と耐熱性を有する低炭素型材料「ジオポリマーコンクリート」の現場施工に成功

現場練り型ミキサを用いた施工方法を確立しました

プレスリリース

株式会社大林組
西松建設株式会社
大阪ガス株式会社

株式会社大林組(社長:白石達)、西松建設株式会社(社長:近藤晴貞)、大阪ガス株式会社(社長:本荘武宏)は共同で、優れた耐酸性と耐熱性を有し、製造過程で排出するCO2量が少ない「ジオポリマーコンクリート」(※1)を施工現場で打ち込む方法を確立し、今回日本で初めて現場で施工することに成功しました。

ジオポリマーコンクリートとは、産業副産物であるフライアッシュ(石炭灰)を使用した次世代のコンクリートです。通常のセメントコンクリートに比べて、耐酸性・耐熱性が高く、下水道関連施設などの酸が発生する環境下や、製鉄所など高温となる環境下での活用が期待されています。また、通常のセメントコンクリートと比べて製造過程で発生するCO2量を80%程度削減でき、環境性の面でも普及が望まれています。

しかし、ジオポリマーコンクリートは固まり始める時間が早く、製造プラントから施工現場までの運搬が困難であること、粘性が高くミキサの洗浄が困難であること、十分な強度を出すために高温で固める必要があることなどから、施工現場で打ち込むことが難しく、工場で製造する二次製品のみで活用されていました。

今回、3社は、以下の技術開発により、ジオポリマーコンクリートの施工現場での打ち込みに成功しました。

  1. 特殊配合ジオポリマー溶液の開発

    ジオポリマーコンクリートの材料であるジオポリマー溶液について、コンクリートが固まり始める時間を延ばすことができる「特殊配合ジオポリマー溶液」を開発しました。これにより、固まり始める時間を従来の1.5倍程度まで延ばすことができました。

  2. 使用材料のプレミックス化

    「特殊配合ジオポリマー溶液」以外の材料について、あらかじめ混合した「プレミックス材」として現場搬入することで、計量など煩雑な現場作業を省略し、施工時間の短縮を図りました。

  3. 現場練り型ミキサの採用

    コンクリートをプラントで製造して施工現場まで運搬するのではなく、現場練り型ミキサを用いて現場で直接ジオポリマーコンクリートを製造する方式を採用したことにより、打ち込みに必要な作業時間を確保することができました。また、ミキサのドラムの内側をゴム製シートで覆うことで、練り混ぜ後の洗浄も容易になりました。

  4. 常温で固化する配合の確立

    ジオポリマーコンクリートを構成する材料の混合割合を最適化することで、高温で固めることなく、常温(20℃)環境下でも24時間で10N/mm²、28日でセメントコンクリートと同等の24N/mm²以上の強度が得られるようになりました。

3社は低炭素社会の実現に貢献していくために、今後も実用化に向けた技術改良に取り組み、施工現場での打ち込みが可能なジオポリマーコンクリートの普及を進めてまいります。

プレミックス材の投入状況

プレミックス材の投入状況

現場練り型ミキサから排出されるジオポリマーコンクリート

現場練り型ミキサから排出されるジオポリマーコンクリート

現場練り型ミキサから排出されるジオポリマーコンクリート

現場練り型ミキサから排出されるジオポリマーコンクリート

ジオポリマーコンクリートの打設状況

ジオポリマーコンクリートの打設状況

施工後のジオポリマーコンクリート

施工後のジオポリマーコンクリート

  • ※1 ジオポリマーコンクリート
    産業副産物である「フライアッシュ」、「高炉スラグ微粉末」、水ガラスを主成分とする「ジオポリマー溶液」などを材料とする新しい低炭素型材料です。ジオポリマーコンクリートで構造物を建設した場合、セメントコンクリートで建設した場合と比較して二酸化炭素排出量を80%程度削減できると試算されており、次世代のコンクリートとなる可能性を有しています。ジオポリマーコンクリートの特長は以下のとおりです。
  1. (1)セメントで構造物を建設する場合に比べ、配合条件などによってはCO2排出量を80%程度削減できる

  2. (2)フライアッシュや高炉スラグなどの産業副産物の有効利用が図れる

  3. (3)成分にCaが少ないため、酸に対する抵抗性が高い

  4. (4)耐熱性能に優れる

これまでは、ジオポリマーコンクリートの打設可能時間が短いなどの理由から、工場製品を対象に開発が進められていました。工場で作製されたジオポリマーコンクリート製品の施工事例としては、ジオポリマーコンクリートの耐酸性能が高いことから、温泉地域の強酸性地盤での境界ブロックなどに活用されています。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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