ブレーキダンパー®を構築する摩擦接合部の大臣認定および一般評定を取得しました

中低層建物における設計期間短縮とコスト低減を実現し適用を容易に

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、ブレーキダンパー(※1)の中低層建物への適用を容易にするため、摩擦接合部の大臣認定および一般評定を取得し、設計期間の短縮とコスト低減を実現しました。

自動車のブレーキを応用し摩擦力により地震時の揺れを抑えるブレーキダンパーは、優れた制震効果に加えて、震災後も損傷せず交換を必要としない高い耐久性を有し同等性能のオイルダンパーより安価で設置できることから、主に高さ60mを超える超高層建物で70件以上の採用実績があります。さらに、近年の東日本大震災をはじめとした大規模地震の発生を受けて、60m以下の中低層建物への適用についても要望が高まっています。

ブレーキダンパーを含む制震ダンパーの多くは、ダンパー自体の強度や変形性能について定められた基準がありませんが、超高層建物の構造設計においては、建築確認申請の前に個別建物の構造安全性能の評価を得るために時刻歴応答解析など高度な設計手法を用いる必要があり、当該建物に設置されている制震ダンパーの効果を個別に反映して最適化することが可能です。

一方、中低層建物の構造設計においては、本来、建築確認申請だけの対応で設計が可能となる手法(許容応力度計算/保有水平耐力計算/限界耐力計算/エネルギー法など)を用いるところ、制震ダンパーを適用して最適な設計を行う場合には、超高層建物の設計と同様の高度な設計方法を用いなければならないという問題があり、設計期間の長期化とコストの増加が中低層建物への適用を阻む要因となっていました。

このたび、大林組はブレーキダンパーを構築する摩擦接合部について、建築基準法による国土交通大臣の認定を取得したことに加えて、一般財団法人日本建築センターにて、大臣認定を活用した部材(ブレース、間柱)としての一般評定を取得しました。これにより、ブレーキダンパーを適用した高さ60m以下の中低層建物の構造設計を、建築確認申請のみで設計が可能となる手法を用いて最適化できるようになり、短期間かつ低コストで耐震性能の高い中低層建物を設計することが可能となりました。

大臣認定取得以降、高さ60m以下の中低層建物において4件の適用実績があります。

ブレーキダンパーの設置状況

大臣認定および一般評定取得によるメリットは以下のとおりです。

制震構造を建築確認申請のみで設計でき、期間を3ヵ月以上短縮

今回、構造試験の結果を踏まえて、ブレーキダンパーを構築する摩擦接合部の構造性能が妥当であると認められ、強度や変形性能に関する大臣認定を取得しました。さらに、日本建築センターから大臣認定を利用した部材(ブレース、間柱)としての一般評定を取得しました。これらの認証を得たことにより、中低層建物において建築確認申請による手続きのみで制震構造を実現できることから、設計期間を3ヵ月以上短縮することが可能です。

構造部材として適用でき、コストを10~20%程度低減

従来、建築確認申請のみで設計が可能となる手法で、ブレーキダンパーを適用した中低層建物の構造設計を行う場合には、構造部材としてブレーキダンパーの効果を反映することができないため、柱・梁の鉄骨を必要以上に大きく設計する必要がありました。大臣認定を取得したことにより、ブレーキダンパーを構造部材として適用可能となり、その効果を反映して柱・梁を最適な大きさとすることができるため、従来と比較して躯体鉄骨のコストを10~20%程度低減します。

大林組は、今回の大臣認定取得により適用が容易になった、高さ60m以下の事務所、集合住宅、病院や商業施設などを対象にブレーキダンパーを積極的に提案し、建物利用者のさらなる安全・安心に貢献していきます。

  • ※1 ブレーキダンパー
    地震や強風で建物が揺れたとき、ステンレス板とブレーキ材の間で摩擦力が発生し、揺れのエネルギーを吸収する制震システム。超高層ビルの揺れ対策のほか、既存ビルの制震改修にも適用できる。皿ばねを介してボルトでステンレス板とブレーキ材を締め込むため、安定した摩擦力を発生する

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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