コールドベント工法を用いた三次元曲面ガラスカーテンウォール技術を日本で初めて施工

短工期・低コストで三次元のダイナミックな曲面ガラスファサードを実現します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE(建築主:公益財団法人日本スポーツ協会、公益財団法人日本オリンピック委員会、設計・監理:株式会社三菱地所設計、竣工:2019年4月)において、ユニットカーテンウォールを建設現場でねじりながら取り付けることで短工期・低コストで三次元のダイナミックな曲面ガラスファサードを実現するコールドベント工法を日本で初めて施工しました。

三次元曲面のガラスファサードを計画する場合、海外では、フラットな四角いユニットカーテンウォール(※1)を建設現場で少しずつねじりながら取り付けるコールドベント工法(※2)が多数採用されています。一方、日本では、以前からガラスとアルミフレームを分けて施工する工法(ノックダウン方式)を主流として技術が浸透しており、コールドベント工法そのものがほとんど知られていません。

そのため、多数の三角形のユニットカーテンウォールを組み合わせて疑似的な曲面を構成する方法や、熱処理で曲面に加工したガラスを用いる方法が採用されますが、部材数が増加することや曲げ加工に手間がかかることからコストが大幅に増加するという問題がありました。

今回大林組は、実験と解析による技術検証とユニットカーテンウォールの製作や取り付けに係る徹底した品質管理に基づいた独自の技術基準を作り込むことで、短工期・低コストで曲面ガラスファサードを実現するコールドベント工法を日本で初めて採用し、海外で多くの施工実績を持つカーテンウォールメーカーであるパルマスティーリザ・ジャパン株式会社の協力を得て、施工しました。

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三次元曲面ガラスカーテンウォールの外観
   

コールドベント工法を用いた三次元曲面ガラスカーテンウォール技術の主な特長は以下のとおりです。    

短工期・低コストで、三次元のダイナミックな曲面のガラスファサードを実現

コールドベント工法は、フラットな四角いユニットカーテンウォールを建設現場で少しずつねじりながら取り付けることで、三次元のダイナミックな曲面ガラスファサードを実現する技術です。

多数の三角形のユニットカーテンウォールを組み合わせる方法やあらかじめ工場で熱処理加工して曲面ガラスを製作する方法と比較すると、ガラスやアルミフレームなどの部材数を増やす必要がなく、曲面ガラスを製作するための二次加工にかかる手間も必要がないことから、約15~20%の製作・施工期間の短縮と約20~25%のコスト低減が期待できます。

また部材数の削減は、取り付けに要する現場作業員の省力化にも寄与します。

  • ユニットカーテンウォールのコーナーを矢印の方向に引き込んで、ファスナーに取り付け、少しずつ三次元曲面を形成する 

  • ユニットカーテンウォール取り付け後

実験と解析による技術検証と徹底した品質管理で安全・安心を確保

コールドベント工法では、現場取り付け時にガラスなどの部材を強制変形させることによって生じる長期の応力に加えて、風荷重や地震荷重あるいは日射熱によって生じる短期の応力を考慮しなければなりません。そこで、安全性検討の一環として、実大のユニットカーテンウォールを用いた強制ねじり試験を行い、ガラスのひずみ性状や破壊性状が、設計時に実施したFEM解析(※3)の要求する強度に適合することを確認しました。

また、この工法で使用されるガラスの製作寸法は、上記カーテンウォールメーカーの三次元設計システムを用い、ユニットカーテンウォールをねじった後のガラスの最終形状を考慮して決められています。

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大林組東日本ロボティクスセンターで行った 強制ねじり試験の状況

従ってガラスは矩形ではなく、許容差が極めて小さい異形の四角形にする必要があるため、寸法精度に対する厳しい要求品質に応えられる二次加工ガラスメーカーで製作しました。現場施工では、三次元測量技術により取り付けファスナーの施工精度を管理し、さらにユニットカーテンウォール取り付け時の引き込みに要する実測荷重と事前の計算値との比較を行うなど徹底した品質管理を行いました。

これらの取り組みにより、季節による寒暖差が大きく地震が多いなど、初めて適用する日本の環境下においても建物の安全・安心を確保しています。

大林組は今後、今回の施工での知見に基づいた独自の技術基準を確立し、事務所ビルや商業施設などのファサード計画における発注者や設計者のニーズに応えるため、コールドベント工法による三次元曲面ガラスカーテンウォール技術の活用を積極的に提案することで、豊かな都市景観の実現に貢献していきます。

フラットファサードとコールドベントファサードの比較概念
  • フラットファサード (Flat Facades)

  • コールドベントファサード (Cold-bent Facades)

  • ※1 ユニットカーテンウォール
    主な構成部材であるアルミフレームやガラスなどを工場で組み立てて製作したユニットを建設現場に搬入して取り付けるユニット方式のカーテンウォール。これに対し、アルミフレームやガラスなどの主な構成部材ごとに現場で順次施工するのがノックダウン方式のカーテンウォール
  • ※2 コールドベント工法
    フラットな四角いユニットカーテンウォールの3コーナー(隣接した2辺)を固定し、残りの1コーナーを強制的に面外方向に押し引きして少しねじり、それを連続させることで、三次元のダイナミックな曲面を実現するカーテンウォールの施工技術。1990年代に欧州で始まったとされ、現在では欧米、中東、東南アジアなど世界中で多用されている。ただし日本ではこれまでコールドベント工法を実施した工事例はなかった
  • ※3 FEM解析
    有限要素法(Finite Element Method)による構造解析のこと。複雑な形状をした部材や構造物を単純な形状の要素の集合体としてモデル化し、風、地震、温度などによる力に対して、要素ごとの応力や変形などを求めたり、それらから構造物全体の変形などを求めたりする高度な解析方法

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。